鳥のように ― ラ・ドゥヴィニエール
La Devinière-
ベルギー/2000/フランス語/カラー/35mm (1:1.66) /90分
監督・撮影:ブノワ・デルヴォー
編集:マリ=エレーヌ・ドゾ
録音:ブノア・ド・クラーク
ナレーター:ミシェル・ホック
製作:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、エステール・オフェンベルグ
製作会社:レ・フィルム・デュ・フルーヴ(ベルギー)、ラプスス(フランス)
共同製作会社:ラ・セット・アルテ
提供:レ・フルム・デュ・フルーヴ
配給:Doc & Co
13, rue Portefoin, 75003 Paris FRANCE
Phone: 33-1-42-77-89-65 Fax: 33-1-42-77-36-56 E-mail: catleclef@compuserve.com
1976年、精神療法院のラ・ドゥヴィニエールは、不治の病と言われ他の病院から見放された19人の子どもたちに門戸を開いた。彼らを受け入れることは精神医学の常識、教育の限度を超えているようにみえた。ラ・ドゥヴィニエールは、子どもたちを格子や手錠や薬から解放し、人間として当たり前の尊厳を持たせることに成功した。20年以上の時がたち、カメラは大人になった彼らの日常をふたたび見つめる。
【監督のことば】撮影は1年かかった。最初はひとつの季節ごとにひと月ずつ撮影しようと思ったが、それは自然や時間と彼らの関係をよりよく理解しようと思ったからだ。ラ・ドゥヴィニエールの生活は宗教のお祭りによって節目付けられる。クリスマス、復活祭、聖ニコラスの祭日…入居者たちにとってそれは生活の上での里程標であると同時に、飾り付けや特別なごちそうの準備などをすることでいろんな活動ができる機会でもある。私とここの“子どもたち”の関係は撮影を通して発展していった。ゲームの規則は私がなにかを決めようとすることもなく自然に決まって行った。写りたくない人は、ただカメラの前にいなければいいだけの話だとすぐに理解してくれた。
介護人たちは外部からやってくる。彼らはこの世界にとって“侵入者”だ。もし彼らに言葉を与えれば、ラ・ドゥヴィニエールの住人たちの代弁者となっていろいろ語ってくれただろう。だがそれは私がやりたいことではなかった。
私はある慎み深さを自分に見出したが、それは決して自己検閲ではなく、この“子どもたち”のことを本当に尊重した、真のアプローチだった。汚ないことも、もちろんしばしば現実だし、ラ・ドゥヴィニエールのスタッフたちもそれは心得ている。精神障害にある種破滅的な側面があるのは本当だ。だがこの人たちの精神と魂を考えるとき、それは些細な話に過ぎないのではないだろうか?
(『鳥のように』オリジナルプレスより)
ブノワ・デルヴォー
1966年生まれ。カメラ助手、カメラオペレーターを経てベルギー映画を代表する撮影監督のひとりとなる一方で、1994年に『Gigi and Monica』でドキュメンタリー作品の監督となる。1996年には『Gigi, Monica... & Bianca』を発表して、ヨーロッパ映画賞のドキュメンタリー部門にノミネートされるなど高い評価を受ける。リュック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ兄弟の『イゴールの約束』(1996)と『ロゼッタ』(1999年カンヌ国際映画祭パルムドール賞受賞)の撮影を務めた。 |