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インターナショナル・コンペティション

さすらう者たちの地

The Land of the Wandering Souls
La terre des âmes errantes
- フランス/2000/カンボジア語/カラー/ビデオ/100分

監督:リティー・パニュ
撮影:プロム・メサ
編集:マリ=クリスティーヌ・ルージェリー、イザベル・ルディー 
録音:シア・ヴィサール、ルン・ナリット
音楽:マーク・マーデル
製作会社:INA
共同製作会社:ラ・セット・アルテ
配給:INA
4 Avenue de l'Europe, 94366 Bry-sur-Marne FRANCE
Phone: 33-1-49-83-29-92 Fax: 33-1-49-83-31-82 E-mail: mgautard@ina.fr

戦火に荒廃したカンボジアで、光ファイバーケーブルの敷設作業が行われている。この事業は多くのカンボジア人に働き口を与えたが、彼ら自身がその恩恵を受けることはないだろう。数ヶ月に及ぶ作業が進むにしたがって、土地を失った農民、復員兵士、貧しい家族らがさすらいの身となっていく。



【監督のことば】1999年、東南アジア初の光ファイバーケーブル敷設工事の作業現場がカンボジアをタイ側からベトナム側へと横切った。この“情報高速道路”敷設は、シルクロードに沿って中国とヨーロッパをつなげる通信網に接続することによって、グローバル経済に統合することを目指すものだ。この光ファイバー敷設事業を考えるにあたって、私は何世紀もの間変わることなく木製のすきで畑を耕しつづける農民たちが、驚異的な情報量を運ぶことになるケーブルを敷きつめてゆく技術者や作業員をみつめている姿を思い起こさずにはいられない。この技術はどのようにして私の国を横切ろうとしているのか? カンボジアの人々は光ファイバー敷設にどのような反応をみせるだろうか? 現在のカンボジアの置かれた状況とは如何なるものか? 長年の戦渦を経て、この国にはどれだけ社会的、文化的遺産が残されているのか? 未来への希望は何だろうか?

 作業現場が前進して行くに連れて労働者のキャンプはケーブルの進路を追う人々とともに移動してゆく。しかし、村に居残る村民にとってそれは仕事の終わりを意味する。村人たちはなごりをおしみつつ去りゆく“光ファイバー行列”を見つめる。子どもたちがよりよい生活を享受できることを祈りながら。カンボジアは、人間の尊厳が政治的暴力と戦争によってもっとも傷つけられた国のひとつであるが、カンボジア国民の持つ強さと希望のおかげでそれらの悲劇を耐えることができた。長年の戦争によって破壊し尽くされた古代の文化遺産の再生の決意と生き残る努力のために、乗り越えていかねばならない数々の困難や矛盾を象徴する何人かの中心的な人々に焦点を当てつつ、私はカンボジアの製作スタッフとともに、前進してゆく作業現場を追った。

 

- リティー・パニュ

プノンペン生まれ。フランス国立映画学院(IDHEC)卒業。多数のドキュメンタリー及び劇映画を製作。デビュー作『Rice People』(1993-4)がシンガポール国際映画祭にて銀幕最優秀女優賞を受賞。『戦争の後の美しい夕べ』(1997)はカンヌ国際映画祭に正式出品、1998年の東京国際映画祭でも上映。ドキュメンタリー作品にはアミアン国際映画祭グランプリ受賞作品の『Site II』(1989)、マルセイユからモンテカルロ、そして仙台からモントリオールにかけて多くの審査員を感動させたテレビドキュメンタリー『Bophana, a Cambodian Tragedy』(1996)など。


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