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インターナショナル・コンペティション

A2


- 日本/2001/日本語/カラー/ビデオ/131分

監督・脚本:森達也
撮影・編集:森達也、安岡卓治 製作:安岡卓治
製作:「A」製作委員会<安岡フィルム
配給:安岡フィルム
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-32-6 大西ビル502
Phone: 03-5367-6408 Fax: 03-5367-6407
E-mail: yasus@netlaputa.ne.jp

1999年9月。オウム(現名:アレフ)を取材した前作『A』からほぼ2年ぶりに、森達也は再びカメラを手に取った。この時期オウムは、日本各地にその拠点を分散し活動を続けていた。この作品に写し出される世界は、多くの日本人が認知している世界とは、あまりにも食い違っている。信者、移転先の地域住民、警察、右翼、マスコミ…それぞれの間に築き上げられる奇妙な共有空間。テレビでは伝えきれない「民衆の敵=オウム」をめぐる、日本社会のもうひとつの姿を浮かび上がらせる作品。



【監督のことば】再びオウムを被写体にすることなど、絶対にありえないと当初は思っていたし、問われるたびにそう答えてきた。なぜなら「オウム」を視点に「日本社会」の断面を呈示する僕の表現行為は、前作『A』で終了している。未消化な部分など欠片もないし、言い足すことも今更何もない。

しかしこの数年、日本社会はまるで歯止めが外れたように急激に変質した。不況や治安の悪化をトリガーに世論は厳罰主義を強硬に主張し、メディアや警察権力がそれに乗じ、様々な国家統制の色合いを持つ法案が成立し、遂には太平洋戦争における日本のスタンスは正しかったと主張する勢力まで現れた。全ては地下鉄サリン以降なのだ。

僕は社会派ではない。でも日本人全てが他者への想像力を停止して、憎悪だけを発露させたこんな世相に対しての危惧ぐらいは感じている。オウムをこんな形で風化させてはいけない。日本をこんな形で収束させてはいけない。たぶん今回のクランクインとなったきっかけは本意ではない。でも今、最後の編集を終えてつくづく思う。切ないくらいに思う。「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」。それだけはこの作品を観る人たちに伝えたい。それだけは知って欲しい。

 

- 森達也

1956年新潟生まれ。立教大学卒。大学時代より俳優活動を始め、黒沢清監督作品、石井聰互監督作品等に出演。テレビ番組制作会社に入社後ドキュメンタリー製作を開始、『職業欄はエスパー』、『放送禁止歌』等を発表。『放送禁止歌』はテレビ番組としては異例の劇場公開を果たす。1998年ドキュメンタリー映画『A』を監督。本映画祭では1997年日本パノラマにて『A』山形ヴァージョン、1999年にワールド・スペシャルにて『A』インターナショナル版を上映。著書に「『A』撮影日誌」(現代書館)、「放送禁止歌」(解放出版)、「SPOON」(飛鳥新社)がある。


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