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[台湾]

駆け込み宿

Dorm
Ký Túc Xá

- 台湾/2021/ヴェトナム語/カラー/デジタル・ファイル/54分

監督、編集:蘇育賢(スー・ユーシェン)
脚本:全出演者
撮影:蘇育賢、田倧源(ティエン・ゾンユエン)、江忠倫(ジャン・チョンルン)
録音:田倧源、廖斐昭(リャオ・フェイジァオ)
音楽:劉芳一 (リウ・ファンイー)
整音:ナイジェル・ブラウン
美術:田倧源、廖修慧(リァオ・シウフイ)、蔡咅璟(ツァイ・ポウジン)、陳怡如(チェン・イールー)
製作:廖修慧
共同製作:チャン・ティ・ビック・チャン
提供、配給:哥影視社(Your Bros. Filmmaking Group)

台湾にあるヴェトナム人の女性労働者が暮らす寮。二段ベッドがひしめき合い、プライベートもない狭い空間で多くの人が寝食をともにしている。服や物、スーツケースで埋め尽くされるこの異空間で彼女たちは、低賃金、過酷な労働、劣悪な生活環境について声をひそめながら語り合う。職場で受けたハラスメントやストライキのためのプラカードの準備など、実話に基づいた物語をパフォーマンスで再現し、やがてそれらは大きなうねりを起こす。前作『駆け込み小屋』(2018、YIDFF 2019)に続く、出稼ぎ労働者のワークショップから生まれた作品。(SA)



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【監督のことば】本作は、ストライキの光景のライブ配信を劇場仕立てにして描いたものである。日常空間のなかで非日常的な状態を思考すると、私たちは本来の時間と空間からしばし離脱することになる。ストライキという息をつかせ、さらには笑いを誘うような時間のなかで、彼女たちは抗争のメインテーマとは異なる小さな事件を発展させていく。そのまったく膠着した空間においては、個々の視線が交錯し、それぞれの反抗の思惑や無意味な絵空事が明らかにされる。

 我々はセットのなかに寮を作り、異なる地域における人生、仕事、役割を組み合わせて、お互いが宿している物語を発展させた。子どもの頃のままごとのように、ひとつひとつエピソードをもうけながら遊んでいくに従って、最初の「場所」から離れていく。ワークショップを何度も重ねるにつれ、映画のストーリー自体も生命を帯びていった。


- 蘇育賢(スー・ユーシェン)

1982年、台湾 台南市生まれ。社会、文化、歴史においてあまり表に出てこないもの、奇想を通じたエンパワメントの可能性といったテーマを主に扱う作品を制作。建築家の田倧源(ティエン・ゾンユエン)と美術史研究者の廖修慧(リァオ・シウフイ)とともに結成した映画制作集団「哥影視社」では、映画制作をひとつの方法として現実を再解釈し、そこに美的な形式を与えて思考の媒体へと変える活動を行っている。