ともにある Cinema with Us 2021
助成:公益財団法人カメイ社会教育振興財団(仙台市)
いまだ「途上にて、そしてこれから」
今回で6回目を迎える東日本大震災関連特集プログラム「ともにある Cinema with Us」。このプロジェクトは10年前、震災直後の現場に入り、人に会い、さまざまな思いを抱えてビデオカメラを回していた映像制作者たちの存在を知った企画者の、「現在進行中の状況を、映画を通じて共有し、新たなつながりを作る、その第一歩としたい」*との強い思いから始まった。以降続いてきたこのプログラムは、その「つながり」を作ることができているだろうか。映像として記録された情景は、それ自体が見る者の現在と過去の記憶をつなぎ、新たな意味や価値を生み出していくが、災害の記録ではとりわけ、こうした映像がもたらす自生的な運動が共感を育む上で大きな力を持つ。発災以降、絶えず震災に関する作品は制作され続け、また過去の映像も、災害が頻発し疫病が蔓延する今、異なる文脈で受け取られていくだろう。他者と時間を共有し、人と人だけでなく、過去と未来、微細な記憶と記憶の「つながり」を実感することが、ものごとの陳腐化に抵抗しうるひとつの手段となるなら、まだまだ映画の果たす役割は大きい。今年もそんな、つながりと時間の重みを感じさせる4作品をご紹介する。
*宮澤啓「途上にて、そしてこれから」(YIDFF 2011 東日本大震災復興支援上映プロジェクト「ともにある Cinema with Us」参照)
作品解説:畑あゆみ(HA)、矢野和之(YK)