[ミャンマー]
心の破片
Broken-
ミャンマー/2021/ビルマ語/カラー/デジタル・ファイル/13分
監督:ナンキンサンウィン
撮影:ゾーミッデイン
編集:テーザーチーカイン
録音:アインユーン
音響、整音:ナンキンサンウィン、アインユーン
音楽:チョーコーコー
提供:Yangon Film School
武装グループと国軍の間で紛争が続くミャンマー、カヤー州の村出身の監督と、年上の女性。ふたりは直接的に会話を交わすことはないが、互いの言葉を呼応させるように、自身の性暴力被害を語り始める。まるで同じような境遇にある女性たちの体験がその身体に宿っているかのように、それぞれの思いが、森のなかで重く静かに語られ、沈黙が破られる。紛争が続く限り、時代に関わらず女性が性暴力と隣り合わせであることに変わりはない。そして誰もが心や身体の傷を負わされる。この地には、片足を失った父も暮らしている。(WM)
【監督のことば】はじめは、戦禍を被った人びとや地雷被害者の人たちがもがきながら生きているさまを描く映画を作りたいと思っていた。けれど現状認識を深めたあとになって、ここには戦争の犠牲となった女性たちの物語が不足していると気がついたのだ。 どれだけ女たちが武装した男たちにこれまでもいまも辱められているか、そして彼女たちがいかにその先の人生を歩もうとしているかについては、いまだにあまり語られていない。
ナンキンサンウィン
ミャンマー、カヤー州ボーレク郡に生まれ育ち、州都ロイコーでヤンゴン映画学校の出身者たちが運営するワークショップに参加したことをきっかけに映画制作への情熱に目覚める。2020年には「カヤー州の隠された多くの物語を明るみに出したい」とヤンゴン映画学校に入学。自身の人生に起きた出来事に果敢にも向き合う本作は、彼女が監督を務めた初のドキュメンタリーとなる。