炭鉱たそがれ
Home in the Mine我跟著你
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中国/2021/中国語/カラー、モノクロ/デジタル・ファイル/109分
監督、製作:陳俊華(チェン・ジュンホア)
撮影:陳俊華、霍凇锋(フオ・ソンフォン)
編集:陳俊華、陳小菁(チェン・シャオジン)、蒋彤(ジャン・トン)、江富海(ジャン・フーハイ)
録音:陳俊華、王怀德(ワン・ファイドゥ)、趙汝瀟(ジァオ・ルーシャオ)
整音:孫華伯(スン・ファーボー)、王怀德
音楽:丁可(ディン・クー)、ピーター・サンドバーグ
エグゼクティブ・プロデューサー:杜海濱(ドゥ・ハイビン)、張汕ロ(ジャン・ジャオウェイ)
共同製作:陳玲珍(ルビー・チェン)
提供:陳俊華
2012年以降、中国淮南市の石炭産業は国のエネルギー政策の転換とともに終焉に向かってゆく。小さな鉱山は次々と閉鎖され、人びとが去りゆき跡形だけが残る。突然のレイオフ、追い討ちとなるガス爆発事故。この町にとって炭鉱は、暮らすものの糧となり、抗えない力で翻弄する存在ともなる。その関係を終わらせるか、このままついてゆくのか気持ちは揺れ動く。地下800メートルの暗闇に眠る資源が与えたもの、奪ったものを、そこで生まれ育った監督が両親や友人らからこぼれる言葉、向けられる視線をとおして知ることとなる。(NKY)
【監督のことば】私の故郷は中国の炭鉱業の中心地だ。父は炭鉱夫をしている。私が子どものころ、父の会社が給料を払えなくなった。母は私を家に残して働きに出た。それ以来、母と私は離れて暮らしている。2014年、中国は再び石炭不況に見舞われ、故郷の経済もまた大打撃を受けた。子ども時代の経験もあり、私は2014年から、父、ゴッドマザー、友人を中心に鉱山で働く人たちを撮影するようになった。撮影している間は、私は一人称の観察者となった。それぞれ異なる仕事をしてきたこの3人のキャラクターを追い、この変化がそれぞれに与える影響を記録した。2019年9月、父が炭鉱夫を引退してこの映画は終わる。
父が国営の炭鉱で働くようになったのは1983年のことだ。かつて炭鉱夫は、中国で最高位の仕事とされていた。特別に栄誉ある職業ということだ。しかし、2019年に父が引退するまでのわずか30年ほどで、炭鉱夫は中国で底辺の仕事になっていた。この映画は、中国の炭鉱で働く家族の物語だ。経済改革によって中国の階層と社会的地位が変化したことを描いている。そして私は、この経験で母が私を残して去っていった理由を理解できた。
中国出身。2013年、四川省で起こった地震を題材にした短編ドキュメンタリー映画『蘆山紀』を撮り、複数の映画祭で受賞した。第73回ヴェネチア国際映画祭でオリゾンティ部門脚本賞を受賞したドキュメンタリー映画『苦い銭』(2016、監督:王兵)では撮影者のひとりに名を連ねる。2014年から中国の石炭産業を対象に取材と撮影を始める。『炭鉱たそがれ』はCNEX基金が設けた2015年度テーマで最優秀プロポーザル賞を受賞。その後、2016年に第7回CNEX中国ドキュメンタリー・フォーラム(CCDF7)、2017年ドックス・ポート・インチョンに出品された。