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パンク・シンドローム

The Punk Syndrome
Kovasikajuttu

- フィンランド、ノルウェー、スウェーデン/2012/フィンランド語/カラー/Blu-ray/85分

監督:ユッカ・カルッカイネン、J-P・パッシ
脚本:ユッカ・カルッカイネン、J-P・パッシ、サミ・ヤハヌカイネン
撮影:J-P・パッシ 
編集:リーッタ・ポイクセルカ
録音:アンッティ・ハイコネン、ユッカ・カルッカイネン
演出:マグヌス・イエルテン 
音響:ヨルゲン・バリスンド
音声:トゥルモド・リングネス
音楽:ペルッティ・クリカン・ニミパイヴァト
製作:サミ・ヤフヌカイネン、モウカ・フィルミ
共同製作:カールステン・アーノンセン、マグヌス・イエルテン、 レナート・ストロム、ヨアキム・ストランド
製作会社:モウカ・フィルミ
配給:アウトルック・フィルムセールス

フィンランドの、知的障がいをもったトニ、サミ、ペルティ、カリの4人で構成されたパンクロックバンド。彼らの音楽は自由への欲求や社会に対する怒りを力強くシンプルに表現し、多くのパンクファンに愛されている。カメラは彼らの日常に寄り添い、バンドの練習、ライヴの成功、楽曲発売に至るまでを中心に記録。メンバーの際立った個性と魅力、彼らの間に生まれる感情の揺れ動きが軽やかに描かれる。フィンランド社会を取り巻く福祉の現状も伝えつつ、「病」とは何かを改めて問いかける。



【監督のことば】「ジロジロ見るな! 人を指さしたりするもんじゃない」。こうした教えは、きっと多くの人の心に染み込んでいるにちがいない。にもかかわらず私は、この映画が、作中の人物を間近に眺め、さらには彼らをジロジロ見て、指をさすことを願っている。そして、誰しもが内面に抱える人間的な側面を見出してほしい。

 私は自分たちが作る映画がただのストーリーを語るのではなく、新しい考え、疑問、感情を呼び起こすことを望んでいる。この映画がそれに成功しているかどうか、私にはわからない。だがこのバンド、ペルッティ・クリカン・ニミパイヴァト(ペルッティ・クリッカズ・ネーム・デイ)ならやってくれるだろうと確信している。本作は奇妙でコミカルで、さらには歓び、熱狂、同情、哀れみ、羨望、その他すべての感情が渾然一体となっている。彼らミュージシャンたちは徹底して誠実だ。何であれ、思うがままに喋り、感じるままに振る舞う。彼らの世界では、つまるところ、最も粗野な感情や行為であっても無害に等しい。

 私は以前、「理解しがたい連中がいるもんだね」という素敵な感想を耳にした。この映画が、彼らを障がい者、あるいは不適格者としてではなく、個人として、また完全な人間として理解すべきであると人々に気づかせてくれることを願っている。彼らが特定の知識、技能に欠けているだけでなく、他者に対し危害を加える能力にも欠けている人間として、皆さんにはご覧いただきたい。思うに、それこそが彼らの意味でもあるのだ。

J-P・パッシ


- (右から)
ユッカ・カルッカイネン
J-P・パッシ

ユッカ・カルッカイネンは2003年以来、ドキュメンタリーを撮り続けている。映画づくりとは別に建設作業員としての経歴も持つ。J-P・パッシは2000年より映画カメラマンとして活動。ときに監督、脚本も手がける。カルッカイネンとパッシは、映画製作会社モウカ・フィルミを設立以来、協働している。二人には以下の作品がある。『Tomorrow Was Yesterday』(2009)、『The Living Room of the Nation』(2009)、『Do You Still Remember Hilma Limperi』(2009)。