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  • 吉増剛造
  • 審査員
    吉増剛造


    -●審査員のことば

     「映画」は“夢のメディア”、……という言葉は、もうとうに、古びたように響きながらも、尚も、“わが泪古くはあれど泉かな”(蕪村の句)のように、万人にとっての深い深い、源泉、……ではないのでしょうか。「映画」の無限の木魂(こだま)、……an eternal echoing of ciné と粒焼(つぶや)いている心が、万人に住ミついていて、その心は、掬(すく)っても掬っても、尽きることがない。



    1939年生まれ。詩人。慶応義塾大学国文学科在学中より詩作を始め、'64年に第一詩集『出発』を刊行。以降、さまざまに変転を重ねながら絶えず現代詩の最前線を切り拓く詩作品を発表するとともに、詩の朗読を伴うパフォーマンスを世界各地で行う。80年代からは銅板に言葉を打刻したオブジェや写真の作品を本格的に発表し、国内外で個展を開催。また、「映画」への愛着を、独特なかたちで告白した著書『燃えあがる映画小屋』があり、主な詩集に『黄金詩篇』『オシリス、石ノ神』『螺旋歌』『花火の家の入口で』『ごろごろ』など。さらに、gozoCiné と自ら命名した『キセキ』を、2009年に上梓した。


    『キセキ ― gozoCiné』より

    From KI-SE-KI--gozoCiné

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    • まいまいず井戸 ― take I (8分)
    • まいまいず井戸 ― take II (7分)
    • プール平 (7分)
    • 熊野、椰の葉、…… (15分)
    • 奄美フィルム ― ミホさん追悼 (13分)

    日本/2008/日本語、英語/カラー/ビデオ

    撮影、編集、監督:吉増剛造
    英語ナレーション:マリリア
    製作会社・配給:オシリス www.osiris.co.jp

    - 『キセキ』とは、軌跡とも奇跡とも読めるタイトルの映像短編集。2006年7月から2007年11月までにビデオの残像モードを使って撮影されたgozoCiné(ゴーゾーシネ)19作品を収録したDVDブックの中から、5作品を上映。横田米軍基地に近い古井戸、蓼科の水の枯れたプール、中上健次の熊野、島尾ミホを追悼して奄美へ。“ウタキ”を探す巡礼者のように旅し、筆で水彩絵の具を重ねるように語りの生声、音楽、フィルム、貝殻などをレンズの前に挿入し、手持ちカメラに収める、きわめてライブな映像表現。

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