before
■　　Ａ　　 ■息づかい ■プロジェクト19 ■アスファルト ■最後のドキュメンタリー ■ママゾニア ■50年の沈黙 ■沈んだ財宝 ■停められた河 ■リアウェイラ：ミクロネシア物語 ■カホオラウェ ■フェルナンド戻る！ ■血のない傷 ■ボスニア・ビデオ日記 ■　　谷　　 ■ジンギス・ブルース ■ステート・オブ・ドッグ ■見知らぬ人との会話 ■ドゥ・シャン ■電影 ■ベルリン・シネマ		ベルリン・シネマ Berlin-Cinema (Titre Provisoire) スイス、フランス/1997/フランス語、ドイツ語、英語、クルド語 /モノクロ、カラー/ビデオ/106分 監督・脚本：サミラ・グロア＝ファデル 撮影：フィリップ・ボニエ　その他 編集：カミーユ・ボルデス・レネ　その他 録音：ジャン＝ポール・ミュゲル、ピーター・エンリッチ、 ダニエラ・ビュルギン 音楽：マームト・デミール、ジャン＝ルイ・ヴァレロ ナレーター：リュディガー・ファグラー 製作：ジャン＝イヴ・グロア 共同製作：ラ・セット=アルテ（パリ） 製作会社・提供：レ・フィルム・ドゥ・ラ・フェラス(Les Flims Grain de Sable) 206, rue de Charenton, 75012 Paris FRANCE Phone: 33-1-4344-1672 Fax: 33-1-4019-0756 E-mail:ncohen@films-graindesable.com 　 サミラ・グロア＝ファデル Samira Gloor-Fadel 1955年、レバノンのベイルート生まれ。レバノン国内でジャーナリズムを専攻し、ベルギーのブリュッセルで映画の撮影を学ぶ。写 真、映画の撮影、脚本で活躍。本作は初の監督作品。 詩的な映像と美しい静寂のなかにとらえられた都市ベルリンを、ヴィム・ヴェンダースの映画論と共に漂泊する内省的なロード・ムービー。ゴダールを直接引用し、小津、ラング、アントニオーニ、ファスビンダー、フォード、リュミエール等に言及する言葉は、画面 の中の何も指示しないまま宙を舞い、ノマドとなって映画の時間を漂流する。それは人間が消え失せ後のような、存在の希薄に魅せられてゆくカメラと併せて“はやくも思索の秋がきた”（ボードレール）と思わせる心地よい自由、孤独、憂鬱を喚起する。 ヴェンダースと建築家との対話シーンが、直接人と人が向きあい視線をかわし言葉をまじえ、関係を深める、素晴らしいサスペンスとして浮上する。また、アレキサンダー広場駅構内で撮影される─フィクション映画のなかの─男女関係が、皮肉にも最も豊かな人間性発露の場面 となる。 すでに長く映画にとらわれ（映画の罠にはまり）、そのことに無意識な私たちに、詩と真実と慰めをあたえてくれる佳作。 [福島行雄] 　 before COPYRIGHT:Yamagata International Documentary Film Festival Organizing Committee