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息づかい
My Own Breathing
韓国/1999/韓国語/カラー/35mm(1:1.33)/77分

監督:ビョン・ヨンジュ
撮影:ビョン・ヨンジュ、ハン・チョング
脚本:アン・ソヒョン
編集:パク・コクチ
録音:キム・ウニョン
製作:シン・ヘウン
製作会社:ドキュ・ファクトリー・ヴィスタ
提供・配給:パンドラ
〒104-0041 東京都中央区新富2-5-10 新富ビル3F
Phone: 03-3555-3987 / Fax: 03-3555-8709
E-mail: pandora@pb3.so-net.ne.jp


ビョン・ヨンジュ
Byun Young-joo

1966年生まれ。梨花女子大学卒業後、中央大学大学院で映画学を専攻。自主映画、とりわけ女性による映画製作運動に取り組む。本映画祭では、ビデオ作品『私たちの子供たち』、『戦列』を1991年、『アジアの女として』を1993年上映、『ナヌムの家』は1995年アジア部門小川紳介賞を受賞。『ナヌムの家2』は1997年本映画祭招待作品、1998年ベルリン国際映画祭正式出品作品として上映。1999年本作を完成。『ナヌムの家』『ナヌムの家2』は、ともにアジア・豪州をはじめ世界各地で紹介されている。

テグ在住のイ・ヨンスさんは第2次世界大戦当時、16歳で台湾に連れられ、日本軍の性奴隷として3年間を過ごした。彼女は今、その責任者の処罰と被害への賠償を求めて、活発な活動を行っている。彼女は心身の疲れた他の被害者を訪ねて苦しみを慰め、記憶がある限り証言し、それらをしっかりと残さなければならないと、説得する。長い間書き綴ってきた日記文で、最近、チョン・テイル文学賞(労働文学賞)を受賞したキム・ユンシムさんは、13歳の時、中国・ハルピンに連れて行かれた。その時期に感染した梅毒のため、彼女の娘は聴覚障害者として生まれた。その事実を知ったキム・ユンシムさんは、娘を背負って夜逃げ同然に故郷を後にし、一生をかけて一人の力で娘を育てた。毎週水曜日、デモに参加し、各地で証言を行う現在も、彼女は自身の過去を娘にだけは、知らせずにいる。

【監督のことば】
日本軍“慰安婦”に関する2作のドキュメンタリーを制作した過去5年の間、映画に出演したハルモニ(おばさん)5人が亡くなった。私は彼女たちに対する哀悼と懐かしさを込めて『息づかい』を完成した。第1、2作目が“ナヌムの家”というオルタナティブな共同体を主な空間として捉えたのに対し、今回は隣人や家族と共に暮らす他のハルモニたちから、過去から現在までの証言を聞くことに集中した。
2つの部分で構成される本作は、ハルモニたちが自らを表現する2つの方法を示す。1人の被害者が別 の被害者に質問する。思い出したくもない過去の苦しみに関して、彼女は知るために問うのではなく、自ら記憶するために問うのだ。ここでの質問は、すなわち過去に関する対話であり、彼女たちの対話は、現在が介入することのできない過去の歴史の完全な復元だ。映画の前半は、それを見守るカメラの視線から成り立っている。
後半に入り、質問は現在へ、私の役割に返ってくる。私は彼女たちに問う。あなたたちの過去と私の現在は、互いにどう向き合っているのか、私たちの時間はどのように異なり、どのように同じであるのか。結局、私にとって映画『息づかい』をつくるということは、私のカメラを見つめるハルモニたちと語り、また別の死と出会うことだった。
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COPYRIGHT:Yamagata International Documentary Film Festival Organizing Committee