日本に生きるということ |
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70年代の記録
1 NDU(日本ドキュメンタリスト・ユニオン)
NDUは早稲田大学OBが作った映画製作集団。映画雑誌「映画批評」「反白書」などで布川徹郎が理論武装した。70年代初頭の在韓被爆者を記録した貴重な作品である。
倭奴(イエノム)へ 在韓被爆者・無告の二十六年
To the Japs: South Korean A-Bomb Survivors Speak Out- 日本/1971/日本語/カラー/16mm/52分
スタッフ:井出情児、井上修、斉藤憐、布川徹郎
企画:竹中労
製作委員会:「倭奴へ」製作推進委員会
提供:NDU、プラネット映画資料図書館
1971年、佐藤栄作首相が朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の祝賀パーティ列席のために訪韓した時を得て、在韓被爆者8名は直訴状を持って日本大使館に向かった。在韓被爆者は韓国官憲によって佐藤首相の韓国滞在中拘束される。カメラはその8人の生活を追う。この1971年は、被爆者・孫振斗(ソン・ジンドゥ)さんが、日本への密航により収監された大村収容所から、在留と医療を求める“原爆手帳裁判”を闘い始めた年である。
2 岡本愛彦
テレビドラマ『私は貝になりたい』(1958)で知られる岡本愛彦は、スパイ容疑で韓国に拘束された在日の救出をめざす人道的な記録映画など、日韓関係の暗部を描いた作品を自主制作したことで知られる。
世界人民に告ぐ!
A Message to the Citizens of the World- 日本/1977/日本語/カラー/16mm/92分
監督、構成:岡本愛彦 演出:吾孫子立子 演出部:神橋武典 撮影:平井与晟
編集:白土純子、五月女孝男 音楽:尹伊桑 ナレーター:此島愛子、仲村秀生
製作:岡本愛彦、吾孫子立子
製作委員会:映画「世界人民に告ぐ!」をつくる会、映画「世界人民に告ぐ!」全国上映委員会
提供:プラネット映画資料図書館
朝鮮生まれの岡本愛彦は70年代には“在日韓国人政治犯問題”をテーマとした記録映画を製作した。朴正煕軍事独裁政権は“反共法”と韓国中央情報部(KCIA)を操り、政府批判派の逮捕・投獄を繰り返していた。在日韓国人政治犯とその家族に焦点を絞った『告発 在日韓国人政治犯レポート』(1975)に続き、金大中(キム・デジュン)事件などに対象を広げて描いたのがこの作品である。