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    1. 教育映画
    2. テレビ映画
    3. 大阪の映画運動

     1 教育映画

    在日は様々な教育映画に描かれた。『日本の子どもたち』は長崎大村収容所に収容されている朝鮮の子どもたちと日本の子どもたちの友情を描く。『日本海の歌』は日本と朝鮮の自由往来をテーマにした作品。


    日本の子どもたち

    Children of Japan

    - 日本/1960/日本語/モノクロ/16mm/54分

    監督:青山通春 脚本:八木保太郎 原作:天本操 撮影:前田実
    編集:宮森みゆり 録音:大家忠男 音楽:大木正夫 美術:山崎明
    照明:鈴賀隆夫 出演:高橋正夫、岩本健一、永田ひろみ、川上英子、桑山正一
    企画:名和克良 製作:若山一夫、江口泰助 
    製作会社:長崎県教職員組合、新世紀映画社、共同映画社
    配給、提供:共同映画社

    小学6年生の児童が書いたつづり方を原作に、長崎の小学生と、不法入国者として収容されている韓国の子どもたちとの交流を描いた児童教育映画。学級会で北朝鮮帰国運動や、韓国からの“密入国”問題のニュースを聞き、意見を交わす子どもたち。在日朝鮮人のクラスメイトもいることから、学校近くにある大村収容所に暮らす子どもたちに親近感を持つ彼らは、担任教師の指導と協力を得て、収容所への慰問を実現させる。この映画には、小川紳介が進行スタッフのひとりとして参加したという。



    - 日本海の歌

    Song of the Japan Sea

    日本/1964/日本語/モノクロ/16mm/60分

    監督、製作:山田典吾 
    脚本:片岡薫 
    撮影:牛山邦一、浜田英夫
    編集:西岡豊 録音:鈴木章平、森本義久、高橋辰雄 
    音楽:原六郎 企画:間宮茂輔、山内達一
    製作会社:現代ぷろだくしょん 提供:現代ぷろだくしょん、北星

    戦後独立映画運動の推進者のひとりとして知られる「現代ぷろだくしょん」の山田典吾が、初めて監督した作品で日朝自由往来をテーマとしている。日朝協会と日本労働組合総評議会の後援の下、4年の歳月をかけて製作され、元来90分の長編記録映画であったが、今回上映するのはその短縮版。オリジナルでは、映画のラストで「金日成首相万歳!」と連呼する場面が続くそうだ。この映画が訴えた日本海の自由な往来は、現在に至るも実現していない。

     



     2 テレビ映画

    大島渚、土本典昭もテレビの草創期にドキュメンタリー番組に取り組んだ。在日をテーマにした2作品をスクリーンで見る機会は極めて貴重である。


    - 忘れられた皇軍

    The Forgotten Imperial Army

    日本/1963/日本語/モノクロ/ビデオ(原版:16mm)/25分

    監督、脚本:大島渚 撮影:柴田定則、須沢正明 編集:溜尾庫平
    効果:森本喬雄 ナレーター:小松方正 協力:野口秀夫、早坂暁
    製作:牛山純一 製作会社:日本テレビ 
    提供、協力:日本映像カルチャー・センター

    大島渚による評価の高いテレビ・ドキュメンタリー作品。傷病兵の多くが韓国籍であるため日本政府から補償を受けられない事実を明らかにし、大島が「日本人よ、私たちよ、これでいいのだろうか?」と問うたように、日本人の無関心さをテレビを通して訴えたもの。大島渚著『魔と残酷の発想』や佐藤忠男著『日本記録映像史』によると、実際は作品で表現されていた以上に深刻で無惨なものだったそうである。



    - 市民戦争

    Civic War

    日本/1965/日本語/モノクロ/ビデオ(原版:16mm)/25分

    監督:土本典昭
    撮影:三島敏彦、板谷幸三
    編集:杉山忠夫
    音響:岩味潔
    ナレーター:小松方正
    製作:牛山純一
    製作会社:日本テレビ
    提供、協力:日本映像カルチャー・センター

    土本典昭が初期に手がけたテレビ・ドキュメンタリー作品。広島県尾道市の通称「国際マーケット」に店を開く戦後の引揚者と朝鮮人が港湾整備計画で無償退去を通告される。不法占拠者と呼ばれて住民は全員反対。市と住民のやりとりを克明に記録している。

     



     3 大阪の映画運動

    大阪自主映画センターを組織し、その後も大阪で活動する康浩郎。YIDFF 2003の特集「ヤマガタ・ニューズリール!」で上映できなかった『1968大阪の夏 反戦の貌』が、今年ようやく発見された。


    - 大都会の海女

    A Woman Diver in the Big City

    日本/1965/日本語/モノクロ/ビデオ(原版:16mm)/30分

    監督:康浩郎
    製作会社、提供:日本映画新社

    - 1965年放送のテレビ番組「シリーズ・人間」のうちの1本。大阪のコリアンタウン猪飼野に住む韓国済州島出身の海女が、日々、大阪湾南端の岬公園の海に潜ってサザエや海藻類を採り、それを売って生活している様を追った。当時はテレビ放送の初期でロケ用の可搬型テレビカメラはなく、16mmカメラを使用し白黒フィルムで撮影していた。字幕もフィルムに焼き付けずに、放送時にテロップを画面にダブらせることが多かった。今回上映するフィルムにはテロップが付随していないため字幕は欠落。監督以外のスタッフも不詳。



    - 1968大阪の夏 反戦の貌

    Summer in Osaka, 1968

    日本/1968/日本語/モノクロ/16mm/40分

    スタッフ:江副宣昭、鈴木功、大庭伸一、坂田実、山崎義大、牧逸郎、大野長八、福島洋、小倉邦夫、堀純一、安西清尚、竹本敦子、加藤勝美、斉藤健男、安達弘太郎、新田三郎、北の間敢、康浩郎、黒田道粂、藤原幸夫、西野健
    製作:「大阪の夏」製作団、大阪自主映画センター 提供:北の間敢

    - 70年安保闘争前夜、カルチェラタン闘争をはじめとする世界的な学生運動に呼応する形で結成された「大阪自主映画センター」制作作品。国際反戦デーに向かって盛り上がった闘争過程を、その内部の矛盾を含めてドキュメントしようとしたもの。康浩郎が主宰し、センターに集まった100人近いスタッフによる集団制作を目指した。この作品のプリントは長年行方不明で上映できなかったが、元・近畿自主上映組織の会(近畿自映組)の主宰者のもとで発見され、久しぶりの上映となる。