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[シリア、イラン]

壊された囁き

Broken Whispers

シリア、イラン/2023/アラビア語/カラー、モノクロ/デジタル・ファイル/63分

- 監督:アミール・マスウード・ソヘイリー、アミール・アーサール・ソヘイリー
撮影:ハサン・ナーヒー
編集:M. S. デフガーンプール
録音:モルテザー・ガユール
音楽:モスタファ・マレク
製作:マフディー・モターハル
配給:Orimond Media

創作に疲れた画家の老人は瓦礫から壊れた楽器を見つけてきては修理をしている。彼に絵を教わる子どもたちが、彼がよみがえらせた楽器を持って、それを演奏できる人がいないか街を探して回ると、戦争によって心を傷めたさまざまな芸術家たちとの出会いにつながる。戦争によってまず犠牲にされるのは芸術だと画家は語る。それは繊細で、まるで小さな囁き声のようなもの。すぐに壊されてたちまち聞こえなくなってしまう。バラバラになった声を拾い集め再生させる。芸術が人と人とをつなげ、傷ついた心を癒やし、色を失った世界に少しずつ彩りを戻していく。(IT)



【監督のことば】戦争は対象を無慈悲に支配し、存在の根幹を荒廃させる。イメージを粉砕し、歌を消滅させ、鮮やかな命の色彩に暗い影を落とす。戦火に傷ついた土地は廃墟と化し、繁栄など望むべくもないほど荒れ果てる。しかし、その灰の中から、芸術が持つ復活の力が生まれる。砕け散った断片が集められ、苦い記憶が再生の約束に置き換わる。

 創造のカンバスの中で、色に命を吹き込む筆から絵画が生まれ、音楽は存在の韻律を奏でる交響曲となる。私たちは画家ミラードの中に、命の炎を、暗闇を光に変える熱を発見し、そして希望と活力に満ちた新世界へと続く道を築く楽観主義を発見する。


- アミール・マスウード・ソヘイリー(右)

イラン人映画作家、ライター、写真家。監督作である『Blue-eyed Boy』(2014)は、ジョグジャ・ネットパックアジア映画祭で学生映画賞、ブレイキング・ダウン・バリア映画祭で最優秀短編賞をそれぞれ受賞。また『Elephantbird』(2018)は、Avanca映画祭(ポルトガル)で最優秀短編賞、PÖFF 短編映画祭(エストニア)でスペルシャル・メンション、モントリオール南アジア映画祭で最優秀短編賞をそれぞれ受賞。フェルダウシ大学、インドネシアン・アート・インスティテュート、アジアン・フィルム・アカデミー、釜山アジア映画学校で学ぶ。現在はKinoeyesのスクリプトライティング修士課程に在籍。


アミール・アーサール・ソヘイリー(左)

映画を専門とする講師、ライター、監督。その映画は国際的に高い評価を受けている。現在はエルミ=カルボーディ大学で映画学教授を、シミヤ・フィルム・カンパニーで会長を務める。長編監督作『Women Who Run with the Wolves』(2019) は、2019年コルカタ国際映画祭で最優秀作品賞にノミネートされた。