街を見つめる 人を見つめる
――ユネスコ創造都市の世界
共催:山形市、山形市創造都市推進協議会
映像で山形ルネッサンス |
映画にとって欠かせないもの
街と人。
テーマはこれしかない、と思った。ユネスコ創造都市ネットワーク「映画」分野、20の加盟都市のリストを眺めてみると、私にとって馴染みのある都市もあれば、初めて名前を聞く都市もある。どんな都市=街なのかと思いを巡らせてみたら、それぞれの街が見たくなったし、行きたくなった。そしてコインの裏表のように、そこに生きる「人」たちにも出会いたくなったのだ。
もっともらしく述べているが、実は多くの映画で実践されてきたことである。単純明快に例えると、ウディ・アレンの映画を観て、ニューヨークに! ウォン・カーウァイを観て、香港に! と行きたくなった人は、私だけではないはずだ。
私自身、これまで「人間を描くこと」に強くこだわって、映画を作ってきたひとりである。そして同じように「街を描くこと」も必要不可欠だと思ってきた。なぜなら、自分が生まれ育った、または住んでいる街との関係を見つめれば、作り手が社会(共同体)をどう捉えているのか、否応なしに浮き彫りになるからだ。
つまり「街を見つめる 人を見つめる」とは一見、凡庸なテーマに見えるが、映画にとっては至極当然の「王道」であり、その作り手の思想、本質を問うものである。