ともにある Cinema with Us 2023
助成：公益財団法人カメイ社会教育振興財団（仙台市）
それを知らない世代と
東日本大震災の教訓について子どもたちに教えてもらう。学校で習った通りの、ふだんとは少し違う大人びた言葉遣いに感心しつつも、何かしっくりこない。ここ数年、被災地と呼ばれる地域に住んでいると経験することである。
毎年のように過去最大級の自然災害が各地で起こり、人類史でもまれに見る疫病と真実の揺らぎが蔓延しているのである。落日にある国の、首都から遠く離れた場所の災害などもはや記憶の片隅に追いやった大人が大勢いるのだから、そもそも当時のことを知らない子どもたちにとってあの出来事が“学校で学ぶ知識”となっていても責めることはできない。
しかし、やはりしっくりこないのだ。それほど簡単に理解されるようになってしまって良いものだろうか。たしかに、記録の継承や教訓は大切ではあるけれども、私たちはまだ整理しきれないところを行きつ戻りつしながらしか進めないのではないだろうか。
東日本大震災から12年経ち文字通り“一回りして”迎えた7回目の「ともにある Cinema with Us」。ドキュメンタリー映画を通じてさまざまな人々や出来事をつなぐ試みを続けてきたこのプログラムを、過去と現在を結び直し、未来のために問い直す機会にしたい。