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[インド]

またたく光

Flickering Lights

インド/2023/タンクル語/カラー/DCP/90分

- 監督、脚本:アヌパマ・スリーニヴァサン、アニルバン・ダッタ
撮影:アヌパマ・スリーニヴァサン、ヴァンディター・ジャイン、ムリンモーイ・マンダル
編集:アヌパマ・スリーニヴァサン
録音:パールトー・ハルデール、サンディープ・シン、サビヤサーチー・パール
音響:シュリーヤーンク・ナンジャッパ
音楽:サスキヤー・ラーオ・デ・ハース
製作:アニルバン・ダッタ
提供:Metamorphosis Film Junction

インドとミャンマーの国境にある人里離れたナガの村、トラ。自治を求める長い闘いの影響でインフラが整っていないこの村に、とうとう電気がやってくる。しかし、人手不足に加え、反政府勢力による経済封鎖の影響で、工事は困難を極める。危険な作業を担う工事人たち。子どもの教育資金のために商店でアイスを売りたいと夢見るジャスミン。そして地域の歴史の生き証人であり、電気開通に懐疑的な老人カムラン。キリスト教徒でもある村人たちの電気がないクリスマスがまた過ぎていく。村の家々にようやく灯った光は、ゆったりと静かな時間に生きてきた村人の生活や人生をどう変えるのか?(MA)



【監督のことば】そもそもの始まりは、インドという国民国家における政治的境界に存在しながら、メインストリームの意識からはほぼ欠落したある場所から物語を語ろうとしたことだった。私たちは15年の間にこの地を何度か訪れ、コミュニティと交流し、理解しようと努めてきた。この地で見たものを表現する方法を模索してきた。

 そして私たちは、この地に電気を引こうという運動が始まったことを耳にした。この動きを追いかければ、この地の人々の複雑に入り組んだ人生に深く入っていけるのではないか。世界の中に存在するこの地において何が機能するか(または機能しないか)ということ、そして人々が不確実性だらけの人生にどう対処するかということを理解する、ひとつの方法になるのではないか。電気のような新しい存在が人々の生活に入り込んだ時、(もし何かが変わるとしたら)何が本当に変わるのだろうか?

 私たちの映画は、疎外された先住民コミュニティの物語を語り直したいという強い思いに導かれてきた。遅れた開発と、暴力の犠牲者でしかない存在として人々を描くのではなく、力強く生きる存在として先住民の村、トラを描きたかった。不協和音が日増しに高まり、分極化が進むこの世界において、私たちが目指すのは、優しさとともに人間を表現することだ。小さな行動と、日々の会話を通して、ある人々の生きた哲学、夢、そして不安を、浮かびあがらせたいと考えている。


- アヌパマ・スリーニヴァサン

インドのデリーに拠点を置く映画作家、映画教育者、キュレーター。ハーバード大学、プネーのFTIIを卒業。ドキュメンタリー制作に携わって20年になり、自身の作品では撮影や編集も担当。監督作品に『ふと想う…』(2009、 YIDFF 2009)、『Nirnay』(2012、共同監督、編集) 『Are you going to school?』(2019)などがある。



- アニルバン・ダッタ

インドのデリーに拠点を置く映画作家、スチル写真家、メディア教育者。これまで数本のドキュメンタリー映画の監督・製作を手がけ、多数のフォトエッセイを生み出してきた。監督作は、ニューヨーク短編映画祭、サンセバスチャン人権映画祭、アルジャジーラ国際映画祭、ムンバイ国際映画祭などで上映されている。