English
[ミャンマー]

負け戦でも

Losing Ground

ミャンマー/2023/ビルマ語/カラー/デジタル・ファイル/23分

- 監督:匿名

窓から見える無数の窓。そのひとつひとつに固有の窮状がある。暗い部屋の中で若者たちは窓から射す光に照らされている。外には絶望が広がる。クーデターによって自由が失われた。仲間の腕に次々と手錠がかけられていく。8か月間収監されていた“彼”は、監獄の外での生活の方がひどいと言う。まるで水槽の魚、籠の中の鳥。檻のような部屋の中で、希望の見えない未来に打ちひしがれながらも、彼らは絵を描く、楽器を弾く、叫ぶ。理不尽にさいなまれ、怒り、不安と孤独に押しつぶされそうなヤンゴンの若者たちの鬱屈が収められている。(IT)



【監督のことば】私はヤンゴンで育った。2021年2月、私の夢はすべて潰えた。母は言った。「さあ、起きなさい。軍が国を乗っ取ってしまったよ」。日々は暗くなる一方だった。私に残された自由は、自分の狭い部屋の窓と、窓から見える空の一部だけになってしまったかのようだった。私はこの新しい人生の状況について何かを語りたかった。私は文章を書き、自分の声を録音した。私の感情、他の若者たちの感情を反映するようなイメージを探し求めた。そしてここに、自分の足元が崩れていく体験を伝える1本の映画が生まれた。


現在のミャンマーの政治状況をかんがみ、本作の制作者は匿名とする。2023年のヴィジョン・デュ・レエルで最優秀短編映画として審査員賞を受賞。同年、サンジョ・ヴェローナ・ビデオ映画祭で上映され、ペルージャ・ソーシャル映画祭では最優秀短編映画賞にノミネートされた。