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    Foreland
    Voorland

    - オランダ/2005/オランダ語/カラー、モノクロ/35mm(1:1.66)/70分

    監督:アルベルト・エリンフス、オウジェニー・ヤンセン
    脚本:アルベルト・エリンフス
    撮影:オウジェニー・ヤンセン、ロブ・スミツ
    編集:オウジェニー・ヤンセン
    録音:アルベルト・エリンフス、ミシェル・スフッピング、マルク・リスィル
    音楽:ロブ・スミツ
    製作:ジャープ・ヴァン・フワイク
    製作会社、配給:ライム・カーデル・フィルムス

    オランダの牧畜と農業の村。人々や動物、木々や河の流れもすべてが豊かでゆったりと流れる。ライン川のほとりにある村の光景を7年の年月をかけ解説などをいっさい排してフィルムに刻んだ作品。時には河が氾濫し人々の生活を脅かす。何も変わらないようなこの村にも、やがて開発や変化の兆しが現れてくる。森林が伐採され、かつては中心的産業であったレンガ工場の廃墟も取り壊されてゆき、鉄道の地下トンネルが開通、静かな村も式典の賑わいに包まれる。



    【監督のことば】大きな河の岸辺で夏のけだるさに身を委ねながら草のベッドに寝そべる。ゆるやかに流れる水面におどる太陽の光を見つめる。遠くに聞こえるモーターボートのエンジンが、頭の周りを飛ぶ虫の羽音と重なり合う。堤防と河水の間にある水辺の地、ここでは時の進み方がほかとは違う。緑をたなびかせる風、牛たちはそのリズムにあわせて反すうし、川の流れは何にも動じず流れ続けている。だがこの牧草地ではすべてがかりそめの姿にすぎない。この“曖昧な土地”は、河が満つる前にもたらすわずかな恩恵によって存在するのである。

     世間から隔絶した牧草地。ここからは人、動物、建物も違う様子に見える。時間を観察し、つかまえようとするには理想的な生活環境だ。同じ牧草地を長いあいだ一心に見つめ、耳を澄ますと(そして大事なのは、それについて語らないこと)、だんだんその場所に流れる時間が見えてくる。人々の考える進歩というものがその波間に揺れている。そんな、いささかロマンチックな出発点からこの映画は始まった。

     『海岸地』は映画ではない。これは体験だ。7年の歳月を、オランダ独特の風景のなかをただよいながら感じる、時間の体験なのである。


    - アルベルト・エリンフス

    1965年、オランダの二大河川に挟まれたファルブルグに生まれる。アムステルダムのアカデミー・フォー・ヴィジュアルアーツ、オランダ映画テレビアカデミーで学んだ後、1991年よりドキュメンタリー製作に携わる。作品の多くは時の移り変わりが主眼となり、製作期間も長期にわたるものが多い。



    - オウジェニー・ヤンセン

    1965年、マーストリヒト生まれ。オランダ映画テレビアカデミーの卒業制作として『Koekoekskinderen』を撮る。長編映画の助監督、ドキュメンタリー映画監督として活躍。初の劇場公開作品『Tussenland』が2002年ロッテルダム国際映画祭VPROタイガーアワードを受賞。

    ふたりの共同製作は、生きたかかしの物語『Vogelvrij』(1996)から始まった。以後、『Nonnevotte』(1998)、『A Daily Life』(2000)、『The Royal Wedding Tapes』(2002)などで共同製作を続けている。