群生するイメージは…島? 2009年ヴァージョン
each film . . . an island?-
フィリピン/2009/英語、タガログ語/カラー/ビデオ
監督、撮影、製作:キドラット・タヒミック&キドラット・デ・ギーア(K1)、カワヤン・デ・ギーア(K2)、カブニャン・デ・ギーア(K3)
脚本:自家製サウンドバイツ
編集:キドラット・タヒミック、キドラット・デ・ギーア
音響:マラヤ・カンポーレドンド
提供:サンフラワー・コレクティヴ
カメラを廻し続けるタヒミックが辿った足跡は、ヨーロッパからアジア各地に広がる。10人あまりの農民たちと共に「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ 2009」に参加し、新潟の棚田にイフガオ先住民の家『戦後のラブレター』を移築。各地で撮られたイメージが、ネックレスのひとつのビーズとなる。今日もタヒミックの島伝いフィルム・メイキング/ビーズ拾いは続く。フィリピン先住民精神の根っこを垂らしながら。
【監督のことば】 それぞれの映画は……ひとつの島か?……情景・音が堆積してできた、ひとつの孤立した塊か?
ある映画人(シネアスト)の作品群は……編集されたフィルムの群島なのか? ……島の探検者たちは、セルロイドの岩盤から作家のDNAを解読することができるのか?
2004年に家が火事になり、8ミリビデオで撮影した短編のVHSマスターテープが、跡形もなく焼けてしまった。私はすべてを受け入れ、諦めた――何事も永遠には続かないのが世の常だ。地球温暖化で、一体あといくつの島が水没するのだろう?
2008年、とっさの思いつきで、東京ビデオフェスティバルにメールを出した。そちらでは、受賞作を保管していますか? やっほー! 1989年(われらがアナログ80年代)から、賞をもらえなかった私の息子たちの作品までも、すべてデジタル化されている!
化石になった私のビデオたち――フィルムのないフィルムでできた、地図に載っていない環礁の島。さあ、島めぐりに出かけよう! アナログHi8の映像が転生し、HDと合体すると、まったく新しいロードムービー日記が生まれるか?
キドラット・タヒミック 1942年、フィリピン・バギオ市生まれ。アメリカで経営学などを学んだ後、'72年に卒業証書を破り捨てアーティストとして生まれ変わった。'77年の第一作『悪夢の香り』以来、ユニークなインディペンデント作家として活躍を続けている。'82年よりたびたび来日、第1回目のYIDFFより参加。『虹のアルバム』(僕は怒れる黄色)の上映のほか、パフォーマンスやインスタレーションも行なってきた。2007年にはインターナショナル・コンペティション審査員を務める。 |