アジア千波万波 審査員
ピンパカ・トゥイラ
●審査員のことば
「人生は映画だ」というと、ビデオカメラの広告のよくできたキャッチコピーのように聞こえなくもない。しかし、果たして、人生が映画になりえるのだろうか?
自宅のテレビで見るリアリティ・テレビから、友人、彼女、彼氏、そして自分の携帯写真まで――デジタル革命が起きているこの時代、デジタル機器を介して日常が新しいエンターテインメントに変化してきたことを私たちは目の当たりにしている。日常の断片が、好きな時に自由に作り選ぶ映画のシーンに様変わりしたのだ。
同情、共感、気づかいといった人間の感性はついに、“現実化した映画”という新しい規格を作る要素として利用されるところまで来た。
この混沌たるデジタル情勢のなか、私は映画作家として、またひとりの人間として、私たちがどこまで人生の真価に近づけるのか思いをめぐらしてきた。私はそれに近づきたい。
タイ自主制作映画界で活躍する女性監督のパイオニア。タマサート大学で映画を学び、1988年から主に女性問題を扱った実験的な短編映画を製作。代表作はタイの有名な幽霊話を解体してみせた、1998年イメージフォーラム・フェスティバル審査員特別賞受賞作『メー・ナーク』(1997)。長編デビュー作の『One Night Husband』(2003)はベルリンなど多くの国際映画祭で上映された。映画批評家、学芸員、講師の仕事の他にタイ・フィルム・ファウンデーションとタイ映画監督協会に関わり、2001年第4回バンコク国際映画祭のプログラム・ディレクターを務めた。 |
見えないタイ・ランド(短縮版)
Unseen Thailand-
タイ/2005/タイ語/カラー/ビデオ/25分
監督、脚本、編集:ピンパカ・トゥイラ
撮影:ニティワット・チョンワニットシリー
録音:パタラプーン・ウィモンシラピン
プロダクション・マネージャー:プラグイフォン・ルアンデート
製作:チャリダー・ウアバムルンジット、ピンパカ・トゥイラ
提供:ピンパカ・トゥイラ
平凡で幸せな暮らしを送ることが夢だった31歳のメディア・アクティヴィスト、スピンヤー。巨大メディア企業と首相との癒着を暴露したために逆に訴えられすべてが一変。タイへようこそ。絵はがきとは違う、ほほえみの奥深くに隠された、誰も知らない驚くべきタイの本当の姿へ。
Worldly Desires
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韓国/2005/タイ語/カラー/ビデオ/42分
監督、製作:アピチャッポン・ウィーラセタクン
『Deep Red Bloody Night』監督:ピンパカ・トゥイラ
脚本:ソムポット・チットゲーソーンポンスィー、アピチャッポン・ウィーラセタクン
撮影:アピチャッポン・ウィーラセタクン、シワロート・コンサクン、サヨムブー・ムクディープロム
編集:アピチャッポン・ウィーラセタクン、ソムポット・チットゲーソーンポンスィー
出演:チャンチャイ・アモンタット、タナッポーン・ウィチャヨム、プリヤー・ウォンクラビープ
製作会社:キック・ザ・マシーン
国内連絡先:海獣シアター
ジャングルを舞台に昼は恋物語、夜は歌が繰り広げられる劇中劇『Deep Red Bloody Night』を撮影しているピンパカ・トゥイラ。アピチャッポン・ウィーラセタクン監督が彼女を招いて製作した慣習についての一種の実験、そして2001年から2005年にかけてジャングルで行った撮影の思い出でもある作品。2005年チョンジュ国際映画祭で発表された『三人三色』のうちの1本。