農家に還る
Back to the Soil농가일기
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韓国/2004/韓国語/カラー/ビデオ/85分
監督、編集、ナレーター:クォン・ウジョン
撮影:クォン・ウジョン、チャン・ホギョン、パク・ジョンピル、ハン・ボムスン
録音:キム・ビョンオ 音楽:キム・イラン
助監督:チャン・ホギョン
製作会社、配給:ドキュイン
韓国の忠清南道(チュンチョンナムド)で都会から移り住み、農家出身の夫の夢であった農業を始める若い夫婦。慣れない農業生活のなかで、手探りの収穫作業、自由貿易協定(FTA)の拡大に対する抗議活動、幼い娘の手術や父の病気など次々と困難に直面する。変わりゆく農業システムと新たな挑戦との迫間(はざま)で表面化する夫婦間の意思の相違や、年輩農家とのギャップを受け止めながら真摯に生きるふたり。一家と共にあるカメラが写し出す爽快な笑顔に引き込まれる。
【監督のことば】メディアに登場する農民像といえばデモの現場での暴力的な姿が描かれるだけで、彼らの主張しようとしていることは、私たちの目の届かないところにある。「農家が大変なのはわかるが、世界の農業の流れに逆らえない」と人々は言う。実際、私たちの目には、地方のごく限られた農民の姿しか映らないのが現状だ。私は農民たちが生きていく姿や、困難にめげず農業にこだわり続ける理由をもっと知りたいという思いに駆られた。そのためには彼らとともに生活をし、1年にわたって農業を経験すれば、このもどかしい疑問への答えが明らかになるのでは、と考えるようになった。
そんな時、農業を始めて5年目の忠清南道扶余(プヨ)にいるイ・グニョクさんと知り合うことができた。イさん一家には、私が生活をともにした1年だけでも数多くの変化が訪れた。農民だった父親の死、娘ジョウンの3度目の手術、また、農民闘争を通して阻止しようとしていたチリとの自由貿易協定批准は、ますます農村の生活を厳しくしていった。しかし、イさんやその家族、ともに活動している地域の農民仲間の1年間を目の当たりにして、人が生きていくうえで守るべき価値観を持つことと、ともに困難を克服していこうという意志がいかに大切であるかということを、私はいま一度考えさせられた。
地方農産業に対する政府の無関心で見放した政策にも関わらず、イさんは、自らが信じ、大切に思っている農業を守るべく、小さいながらも希望を耕しているのだ。彼は現在、農業の活性化をめざし、自身の小さな村で村民たちと農民運動を展開している。今はまだ遠い未来のことではあるが、食糧がただの国際取引の対象ではなく、何ものにも代えがたいものであることが認識される時まで、彼は農業をやめないだろう。
クォン・ウジョン 2000年、民主メディア市民連合ビデオジャーナリスト学校を修了し、『3 cm of Freedom, We Fight for Our Own Rights』を作った。共同監督作としてキョンギ文化財団企画ドキュメンタリー『Discovering the Cultural Artifacts of Kyoung-gi』(2000)、KBSにて放映された『After the Special Law on Agricultural Income Families Debt, the Way to Survival for Our Agriculture』(2001)。その他、『Giving is Hope』の撮影及び監督を務め、2003年に製作した『The Age of the Open Agricultural Market, the 2001 Report 』はドキュインにて特別上映され、スウォン人権映画祭で上映された。 |