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    Dear Pyongyang


    - 日本/2005/日本語、韓国・朝鮮語/カラー/ビデオ/107分

    監督、撮影、ナレーター:梁英姫 (ヤン・ヨンヒ)
    編集:中牛あかね 録音、音楽:犬丸正博
    製作:稲葉敏也
    製作会社、配給:CHEON

    在日コリアン二世の監督が、活動家である父と母の歴史を尋ね、父の押し付ける価値観から逃げていた自分を見つめ返しながら、30数年前に大阪・生野から平壌へ渡った3人の兄たちとその家族を長年に渡り訪れカメラに収める。作品作りという対話を通して、親娘の思想的相違を真剣に、そしてユーモアをもって、確認しながら解しとき、新しい家族の絆を紡いでゆく。そして、現在は病床にある父を共に支える母娘。病室から〈故郷〉への想いに哭く父の姿が胸を突く。



    【監督のことば】社会に対して、時代に対して問題意識を持つきっかけをくれたのは、北朝鮮に「帰国」した3人の兄たちと朝鮮総聯の活動に人生を捧げた両親の存在であった。

     私は、幼い頃からいつも“使命”“任務”“忠誠心”という言葉に囲まれて育った。生まれて初めて憶えた歌は「金日成将軍の歌」であった。学校では、いつものように「ヨンヒもお父さん、お母さんのような組織の幹部になりなさい。」「お兄さんたちがいる祖国に忠実でありなさい。」と教えられた。大人たちの前では優等生でいたけれど、心の中では自分の思うように生きていきたいと叫び続けていた。常に“在日”であること、家族の一員であること、女であることから解放されたいと思っていた。

     やがて時が過ぎ、大人になるにつれ「自由になること」とは、自分の抱える問題から、ただ逃げるのではなく、正面から向き合うことであると気づいた。

     時代に翻弄され続けた両親や兄たちの人生を彼らの立場として考える時、そこに隠れている「個人の物語」が見えはじめた。家族の歩みを振り返りながら、いまあらためて私自身が生きている時間、時代を見つめ直してみる。その向こうには私たちが共存し、生きていくための“何か”があるのかもしれない。


    - 梁英姫 (ヤン・ヨンヒ)

    大阪市生まれ。〈在日〉コリアン二世。ニューヨークのニュースクール大学大学院にて修士号取得。教師、劇団女優を経験後、ラジオ・パーソナリティーに。1995年からドキュメンタリーを主体とした映像作家として数々の作品を発表。『What Is ちまちょごり?』『揺れる心』などは、NHKにて放映された。また、テレビ朝日・ニュースステーション等でニュース取材・出演するなどテレビの報道番組でも活躍。タイ、バングラデシュ、中国などアジアを中心とした様々な国で映像取材。現地に長期滞在し当事者の視点で取材を続ける。1997年渡米、約6年ニューヨークに滞在。その間、様々なエスニック・コミュニティを映像取材。2003年帰国、日本での活動を再開した。