[台湾]
移りゆくステージ
Fluiding Stage四輪頂的戲台仔
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台湾/2004/台湾語/カラー/ビデオ/42分
監督、撮影、編集:林啓壽(リン・チーショウ)
製作:王秀靖(ワン・シウチン)
提供:林啓壽
黙々と男ふたりがトラックから機材を降ろし、パイプを組み立て、人形劇のステージを作る。観客が誰であろうと、何人でも劇はいつものように始まり、そして終わる。ほこりをかぶり倉庫に眠る映写機やフィルム、実直に仕事をこなす男たちの存在を確かに、脳裏に焼き付けるように、隅のほうからカメラが記録する。カメラをのせたトラックは農道で車に道を譲りながら、遠慮がちに、幾重の人々/場と交差し、台湾のある時代の空気を運んで走る。
【監督のことば】もともと私は、個人的な趣味と多少の過去への郷愁を抱きながら、徐々に衰微していく業種を映像で記録しておこうと思っただけだった。
撮影の過程で、毎回の出待ちとトラックの出発を経験するにしたがい、私は自分が個人的に想像していたことが面白くもなく、私のロマンチックな郷愁は彼らの真面目な生活の上に成り立っていたことに気づいた。
私にとってドキュメンタリーは、私がより多くの人を理解できるようにしてくれるものだけでなく、自己反省の連続である。陳大師匠と陳師匠の助力、夏鳳筠の協力、そして何があろうと私を支持してくれる秀靖。彼らのおかげで私はドキュメンタリーの可能性をより信じることができた。そして成せること成せないことのすべてに、感謝したい。
林啓壽(リン・チーショウ) 1971年、台湾生まれ。学生時代に多種多様の仕事を経験、大学時代に映画製作を始め、16mmフィルム『撮影師的指環』で金穂奨を受賞。大学院でも短編ドキュメンタリー映画を作り続け、『起乩的暗瞑』『關門開門』を製作。『少年影片』も金穂奨を受賞し、台湾国際ドキュメンタリー祭に参加。現在は和春技術学院コミュニケーション学部で教鞭をとりながら、映像製作を続けている。 |