[中国]
憶え描き
Try to Remember-
中国/2005/北京語/カラー/ビデオ/90分
監督、脚本、撮影、編集、録音、ナレーター、製作、提供:鍾鍵(チョン・ジエン)
母がカメラを携えた息子を連れて故郷、雁塘村へ還り、案内して歩く。貧しかった村の生活、幼い紅衛兵だった文革時代を堰を切ったように、全身で言葉を発し息子に話しかける。土を踏みしめ、過去の人々と邂逅しながら、記憶を数珠つなぎのようにたぐりよせていく。カメラを通して真っすぐに、必死に呼応する息子。今は空っぽの生家の窓をパァーッと開け放つ光のなかで、母から記憶の束を受け取る。忘れないように、そして憶えていて、と。
【監督のことば】もし記録の真実が生活そのものから来るのなら、もしある種の記憶が一塊の土地に寄り添うことができるなら、私が連想できるのはただひとつ―成長に関する物語だけである。それはいつも歴史のなかにゆっくりと現れ、歴史によって埋没させられる。一人ひとりの成長にはそれぞれ素晴らしさや苦痛や喜びがあるが、みなそのなかにある種の宿命を持っている。もしかしたら、私は20年後に、このフィルムを私の子どもへの誕生日プレゼントとして、ひとつの家庭の物語、土地の物語、私たちの家の物語を語ることができるかもしれない。なぜなら、これは私の母親、私の将来の子どもの祖母に由来する物語なのだから。
鍾鍵(チョン・ジエン) 1982年、中国昆明生まれ。2001年、雲南芸術学院に入学し、映画を学ぶ。2003年、ドキュメンタリー『日子』で第1回雲南学生映像作品展、第1回「南南絮語(雲南、台南のお喋り)」に参加。2005年、卒業制作である本作は台湾で行われた第2回「南南絮語」で好評を博した。 |