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パウロ・ブランコに会いたい

Two, Three Times Branco: A Legend's Producer
Deux, trois fois Branco

フランス、ポルトガル/2018/フランス語、ポルトガル語、英語/カラー、モノクロ/デジタル・ファイル/110分

監督、編集:ボリス・ニコ
撮影:ドゥニ・ゴベール
録音:リカルド・レアル
製作:ジェラール・コラス
製作会社:Institut National de l' Audiovisuel (INA)、LX Filmes
提供:Institut National de l' Audiovisuel (INA)

1981年、映画批評家セルジュ・ダネーは、マノエル・ド・オリヴェイラ監督の撮影現場を見学するためにリスボンを訪れる。ダネーが記すように、この時代のポルトガルは、映画の「中心地ではないが、一時的に磁力を持った極」をなしており、ラウル・ルイス、ヴェンダース、クレイマー、モンテイロなど、多彩な映画作家が集まり、数多くの作品が生み出され海外へ紹介されていった。その只中で彼らの作品を製作していたのは、若き日のパウロ・ブランコだった。35年の月日が経った。リスボンとパリを行き来し、経済的な成功と破綻を繰り返しながら「伝説のプロデューサー」となった男に会うために、現在からあの時代へと遡るために、新しい世代のドキュメンタリストがダネーのテキストに導かれつつポルトガルへ旅立つ。



さらばわが愛、北朝鮮

Goodbye My Love, North Korea
굿바이 마이 러브NK: 붉은 청춘

韓国/2017/韓国語、ロシア語/カラー/デジタル・ファイル/80分

監督:キム・ソヨン
撮影:カン・ジンソク、シン・イムホ
編集:キム・ソヨン、カン・ジンソク
録音:チョン・ジヨン
美術:リー・エイミー
出演:チェ・クッキン、キム・ジョングン、ハン・ジナイーダ、キム・テフン
製作:カン・ジンソク
提供:CinemaDAL

YIDFF 2001アジア千波万波で上映された『居留 ― 南の女』のキム・ソヨン監督(監督名ソハとしてクレジット)による作品。朝鮮人集団移住者を取材した「亡命三部作」の完結編。建国して間もない時期に、モスクワの映画学校で学ぶために北朝鮮を離れた人びとがいた。「モスクワの8人」として知られている彼らは、キム・イルソンの偶像化を批判し、約束された将来を捨てて1958年にソビエトへ亡命した。生き残ったメンバーである、撮影監督のキム・ジョンフンと映画監督のチェ・クッキン、作家のハン・デヨンの未亡人となったロシア人の妻へのインタヴューを通して、異国での生活、芸術家としての活動、彼らの信念が語られる。「生まれたところを故郷と呼ぶが、死に場所は何と呼ぶのか」という作品の問いは、望郷の念と未来への決断とに引き裂かれたディアスポラの過酷な運命を浮かび上がらせる。



声なき炎

Mute Fire
Pirotecnia

コロンビア/2019/スペイン語/カラー、モノクロ/デジタル・ファイル/85分

監督、脚本、編集:フェデリコ・アテオルトゥア・アルテアガ
撮影:マウリシオ・レイエス・セラーノ
美術:シモン・ベレス
音響:ディアナ・マルティネス・ムノス、ホセ・デルガディジョ・ムノス
音楽:カルロス・エドゥアルド、ケブラーダ・バスケス
製作:ジェロニモ・アテオルトゥア・アルテアガ
製作会社、提供:Invasion Cine

1906年3月6日、コロンビアのラファエル・レジェス大統領暗殺未遂の罪により、4人の男たちが銃殺刑に処せられた。椅子にくくりつけられ放置された死体を眺める群衆をとらえた写真。のちにこのイメージは、事件を描いた劇映画にクーデターの失敗として用いられ、独裁権力を強化することに与するだろう。コロンビアの映画史はここから始まり、ラテンアメリカにおける映画は、つねに暴力の歴史と結びついてきたと本作は問題を提起する。映像における改ざん、捏造、プロパガンダ。それは、個人の記憶とも無縁ではない。自分の母親が話すことを突然やめたのは何故なのか。彼女の残したホーム・ビデオを手掛かりに、大文字の歴史に巻き込まれ、犠牲となった人びとの傷、押し潰された声なき声が顕在化する。



イサドラの子どもたち

Isadora's Children
Les enfants d'Isadora

フランス、韓国/2019/フランス語/カラー/デジタル・ファイル/84分

監督:ダミアン・マニヴェル
脚本:ジュリアン・デュドネ、ダミアン・マニヴェル
撮影:ノエ・バック
編集:ドゥニア・シショフ
出演:アガト・ボニツェール、マノン・カルパンティエ、マリカ・リッツィ、エルザ・ウォリアストン
製作:マルタン・ベルティエ、ダミアン・マニヴェル
製作会社:MLD Films、チョンジュ・シネマ・プロジェクト
配給、提供:Shellac Distribution

伝説の舞踏家として名高いイサドラ・ダンカン(1878−1927)は、1913年4月にふたりの子どもを亡くした後、「Mother」と題された別れのソロを創作する。子どもが旅立つ最後の瞬間に、優しさが極限にまで高められ、母親はわが子を抱きしめる。1世紀を経て、4人の女性が胸の張り裂けるようなダンスと向き合う。ダミアン・マニヴェルが初めてダンスそのものに取り組んだ本作は、ロカルノ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞した。