イノセント
Innocent无知罪
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シンガポール/2004/英語、北京語、潮洲語、福建語/カラー、モノクロ/ビデオ/27分
監督、撮影:陸麗珊(ルー・リーシャン)、何俊雄(ホー・ジュンション)
編集:陸麗珊
音楽:イーサン・タン
提供:陸麗珊
葬式で初めて叔母の死が自殺であったことを知った監督が、遺された子ども、夫と共に現場検証するかのように事件の起こった冷たいコンクリートの建物へ赴く。かつて彼女が生きていた空間を映像に甦らせ、自殺の事実そのものだけではない何かを探すように、様々な方向にカメラを向ける。事件の背景をもっともらしく説明する親族や関係者たち、対照的に口を閉ざす当事者。浮かび上がってくる真相や親戚たちの証言の割れ目からシンガポールの閉塞感がにじみ出る、パーソナル・ドキュメンタリーの新しい地点。
【監督のことば】調査を突き進める程、灰色の部分が広がり、白と黒だけではないことを学んだ。知れば知るほどわからなくなってくる。それでもその過程で自分が得た収穫は大きい。自分の親戚にとってもそうであって欲しいと思う。
陸麗珊
陸麗珊の叔母が他界してから2年が過ぎた。奇妙なことだが、彼女を尋問した警察官のことを時々考えてしまう。彼のインタビューは撮影しなかったが、その警官と電話で話をした。その時、彼自身もこの自殺に動揺しているのだと気づいた。もう大丈夫だといいのだが。
そして、残された家族、特に子どもたちには、母親のように自分の殻に閉じこもらないで、立ち直って欲しいと願っている。
最後に、近い将来、シンガポール人が、何かにおびえたり、反動を気にすることなく、堂々と本心を言えるようになって欲しいと願っている。
何俊雄
陸麗珊(ルー・リーシャン) 1973年生まれ。テレビドキュメンタリー、娯楽、国際、スポーツ、紀行番組などの編集を幅広く手がけ11年のキャリアを持つ。長年にわたり短編映画を多数製作。これまで編集した作品は、数々の国際的な賞を受賞。『Moving House』は、2002年に学生アカデミー賞ドキュメンタリー部門ゴールド・メダルを受賞。実験短編映画『Happy Birthday Sharon』は、2003年にイスタンブールで開催された第2回AFM国際インディペンデント映画祭で最優秀短編映画賞を受賞した。 何俊雄(ホー・ジュンション) 1975年生まれ。デビュー作『Goddess of the Neon City』が、シンガポール国際映画祭の最優秀短編映画賞の最終選考に残った。その後、ディスカバリーチャンネルとメディアコープ・アーツ・セントラルなどでテレビの制作に携わる。 本作は2004年、シンガポール国際ドキュメンタリー祭、タイ短編映画祭、ロンドンICAのシンガポール・シーズン2005で上映、シンガポール国際映画祭で審査員特別賞及び特別功労賞を受賞した。 |