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    いつまで、いつか…。

    until when . . .
    la wakt'aich . . .

    - パレスティナ、アメリカ/2004/アラビア語/カラー、モノクロ/ビデオ/76分

    監督、編集:ダーナ・アブラハメ
    撮影:アン=マリー・ジャスィール、スージー・サラーミ
    音響:ジェス・アーレド
    音楽:カムラン・ラステガー、ザーフィル・タウイール
    製作:アン=マリー・ジャスィール 
    共同製作:スージー・サラーミ
    製作会社:ファラフル・ダディ・プロダクション
    配給:アラブ・フィルム・ディストリビューション

    ベツレヘム近郊のドヘイシェ、パレスティナ難民キャンプに住む家族たちのそれぞれの過去。帰郷権利を持ち続ける現在。そして脳裏に描かれるパレスティナと足下にある異場所(いばしょ)を行き交う。三世代に渡る家族、ごく普通の姉妹や夫婦の会話、日々の仕事を懸命にこなす若者の姿、弟たちの面倒をみる少年、知られざる女性活動家たちの歴史からは、マスメディアで報道される「イスラエル・パレスティナ問題」が排除してきたパレスティナ人の顔、日々の哀しみと怒りと喜びと楽しみという感情が映し出される。



    【監督のことば】2000年9月に第2次インティファーダが勃発し、パレスティナ・イスラエル情勢の緊張が高まった。アメリカでもこの問題に対する意識が高まり、様々な行動が生まれたが、メディアは依然としてパレスティナ人をテロリストとして描くことがほとんどだった。ニューヨークに拠点をおくパレスティナ人の映画作家として、私たちはこの映像の偏向と向き合わなければならないと感じた。私たちの望みは、この問題の核であるパレスティナ人難民たちを、顔の見える人間として描くことだった。

     当初の構想では、もっと広い範囲で、難民家族の姿を数カ国にわたって取材しようと考えていた。2001年の夏に、ベツレヘム近郊のドヘイシェ難民キャンプにあるユース・センターで、ビデオ制作のワークショップを開き、そこでこの映画の中心になっている4組の家族と出会った。

     出会ってからの1カ月、彼らの話を聞くうちに、私の心は魅了されていった。それぞれが、このドヘイシェという地に独特な何かをもたらしていた。そして、彼らの物語を正当に扱うには、その機が熟するのを待つことが重要だった。広範囲ではなく、ひとつの地域を深く掘り下げたほうが賢明だと気がついた。2002年の冬に再訪し、また彼らとともに1カ月過ごした。

     この映画は、3世代にわたる人生の、あるひとつの断面という形になった。私がここで伝えたいのは、これらの家族が日々の生活をどのように生きているかというディテールであり、あらゆる日常の局面での怒りや苦痛や悲しみにもかかわらず、どのように希望や笑い、寛容さ、そして許しを見い出しているかということだ。それは、直視されるべき、とても人間的で普遍的な人々の姿なのだ。


    - ダーナ・アブラハメ

    映画作家。アブダビとアンマンに育ち、現在はニューヨークを拠点に活動。若者にビデオ制作を教えるかたわら、いくつかのコミュニティ・アート・プロジェクトに関わる。『500 Dunam on the Moon』『Like Twenty Impossibles』で録音を務める。本作は初の長編監督作。