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    風経

    Blossoming in the Wind
    风经

    - 中国/2004/チベット語、北京語/カラー/ビデオ/60分

    監督、脚本、撮影、編集、録音、音楽:孫悦凌(スン・ユエリン)
    製作:張凱文(チャン・カイウェン)
    提供:孫悦凌

    中国、雲南省・香格里拉(シャングリラ)地方、徳欽。チベット仏教の若いラマ僧と弟子の子どもたち、同行するカメラが雪の聖山を巡礼する至福の旅。みぞれや深い雪の中も無心に、茶目っ気たっぷりに歩き続ける一行を、村の人々と動物たちが温かく迎える。透き通る光の中で青い空、白い雲、鈴の音、足音、笑顔、歌声などの細部が輝き、祭典のような日常が描かれる。動物も人間も天真爛漫に聖と俗の世界を軽やかに行き交う。



    - 【監督のことば】多くの人が私の仕事は旅行ができて、なおかつ稼げるとうらやましがるのだが、それは誤解だ。現代人によくある浅はかな考え方であって、私にとってはただの仕事や旅行ではない。世界中を旅する僧侶のように感じている。撮影自体は経典を読み込み、深めるという行為に似ていて、偶然に身をゆだねることなく、日々自己鍛錬をしていかなくてはならない。まだ若く、長い道も歩ける私は、大都市の退廃を逃れている。さらに長い道を歩んでゆきたい。

     私の頬をなでる風は、単なる新鮮な空気ではなく、土ぼこりや灰もまじっている。ピュアな場所もあれば、そうでない場所もある。ただ中国ドキュメンタリー映画の思考はそこで止まってしまっている。いわゆる伝統的とされる語りの手法をどう覆すか、もっと考えなくてはならない。今は、それが可能だ。他から感化されず猛然と撮り続けなくては自分自身の傍観者となってしまうと、自分に言い聞かせている。もっと勇敢に、自分の言葉を。


    - 孫悦凌(スン・ユエリン)

    1980年生まれ。上海戯劇学院舞台美術科を2003年に卒業し、雲南省の文化ボランティアとして活躍。2004年、上海真龍記実片スタジオに入社、本作を製作。2005年には『休憩地』『碟中碟』『美人也愁嫁』『蝶変』『崔健』の製作に参加し、上海戯劇学院大学院視覚芸術部に入学した。