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[エストニア]

記憶の再生

Raise Me a Memory
Läinud on jäänud

エストニア/2023/エストニア語、 セト語、ヒンディー語、英語/カラー/ デジタル・ファイル/70分

- 監督、脚本、編集:ヴァルン・トリカー
撮影:ヴァルン・トリカー 、ヘイコ・シッカ
製作:カレン・レインバーグ
提供、配給:Revolver Film

エストニアの国境地帯にある村を訪れたインド人監督は、道に迷いながら土地の人々に出会う。線路にかけよって命を落とした幼い息子の夢を見る、年老いた女性。亡き父の夢を見た後に足の病気が和らいだという女性。そして難民だった祖父の不思議な夢を見たという男性エヴァー。この世を去った人々は生者の夢に現れ、夢を見た人々にしか理解できない体験を残す。そして、祖父の過去を知った監督は、エヴァーと自分を重ね合わせる。残されたノート、手紙、廃屋、列車、夢。それらは記憶媒体となって、国境を巡る苦難の歴史を暗示しながら、時を超えて人間の業を描き出す。(MA)



【監督のことば】この映画の制作は、どこか過去と現在をつなぐボートを建造することに似ていた。記憶はそのようなボートの頑丈な船体となり、そして希望はその主帆のように吹き荒れる歴史の風をしっかりと受け止める。謎に満ちた意識の海を攪拌するのは、夢でできたオールだ。このボートが航行するのは、ふたつの異なる時点をつなぐためだけではない。その中間、その果てしなく広がる水の中で停止し、われわれがかつていた場所、今いる場所、そしてここからどこへ導かれていくのかを目撃するためでもある。


- ヴァルン・トリカー

デリーとトロントを拠点に活躍する映画作家。キングス・カレッジ・ロンドンで倫理学を、デリーのSACACでクリエイティブ・ドキュメンタリーを学び、その作品は独特の詩的な声を持つ。YIDFF 2015で上映された短編ドキュメンタリー『七度目の祈り』(2014)で探求した地下世界の現実が、長編ドキュメンタリー・デビュー作『記憶の再生』でも美しくすくい上げられている。