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三人の女たち

Three Women
Drei Frauen

ドイツ/2022/ウクライナ語、ドイツ語/カラー/DCP/85分

- 監督、脚本、製作:マキシム・メルニク
撮影:フロリアン・バオムガルテン、メレト・マデーリン
編集:ヤニク・エケンシュターラー
ミキシング:ロマン・ポゴジェルスキ
製作会社:Film University Babelsberg KONRAD WOLF
提供:Film University Babelsberg KONRAD WOLF

カルパチア山脈の麓にあるウクライナ ストゥジツヤ村。大学院の修了制作のため母国に戻った監督は、村に暮らす3人の女性たちと出会う。生物学者として日々節足動物の採集に勤しむネーリャは、カメラも気にせず我が道を突き進み、村人に年金を手渡している郵便局員のマリーヤは、監督たちを伴い村人宅を訪ねてまわる。ひとりで牛を飼育する農家のハンナは、悪態をつきつつ撮影を拒否するが……。生活のためにこの地に留まるか他国へ去るか人々が選択を迫られる村で、彼女たちの確固とした生の営みが、移ろいゆく季節とともに重層的に編み上げられる。(KH)



【監督のことば】数年前、私はウクライナのカルパチア山脈にあるストゥジツヤ村に行き、そこで生物学者のネーリャに出会った。科学研究で達成したい目標を尋ねたら、彼女は「熊の糞便を見つけることかな」と言った。私は驚いて理由を尋ねた。彼女は大いに興奮して、「世界で最も貴重なものが熊の糞便なの」と答え、それが動物保護や研究にとっていかに重要かを力説してくれた。これがすべての始まりである。その後、私は農業を営むハンナ、それに郵便局長のマリーヤに会う。3人の女性はそれぞれ異なる物語を持っていたが、同時にある意味で皆、似てもいた。3人とも確かな強さとしなやかさを持っており、我々を魅了するユーモアと皮肉のセンスが際立っていたのだ。

 私たちはこの小さな村に1年間滞在し、村の生活を撮影した。夏にはハンナの小さな台所で数え切れないほどコーヒーを飲んだ。郵便局長のマリーヤとともに村人に年金を届ける役割も担った。ネーリャと一緒に森に入って熊の糞を探した。極寒の冬山で私たちをつないだ温もりをテーマに、人が人と出会うことについての映画を撮りたかった。私たちは撮影を通してこのコミュニティの一部となったことに気づいていなかったのだが、村を去る時はとても辛かった。

 映画を編集している最中に、ウクライナで戦争が勃発した。この映画は、ウクライナの平和と、戦争が勃発して永久に変わってしまった以前の暮らしへのオマージュとなった。


- マキシム・メルニク

ウクライナのウジュホロド生まれ。ウクライナの地方テレビ局で記者として働いた後、スロバキアのブラチスラヴァにある舞台芸術アカデミーで映画制作と演出を学ぶ。その後、バーベルスベルク(ドイツ)のコンラート・ヴォルフ映画大学でドキュメンタリー映画制作を専攻。他の作品に『Schönborn』(2020)、『Bikes for Poroschkowo』(2019)がある。本作は初の長編映画となる。