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紫の家の物語

Tales of the Purple House
حكايات البيت الأ رجواني<

レバノン、イラク、フランス/2022/アラビア語/カラー/DCP/184分

- 監督、脚本、撮影、編集、音響:アッバース・ファーディル
整音、音響効果:ビクトール・ブレッセ、アッバース・ファーディル
カラー・グレーディング:クリステル・エリアース
出演:ヌール・バッルーク、ムーサー・アルハジューズ、ラーカーン・バッルーク、スアード・アワーダ
製作:アッバース・ファーディル、ヌール・バッルーク
提供:アッバース・ファーディル

映画作家と、画家であるその妻が、レバノン南部にある紫の家で暮らしたコロナ禍の2年間を、三部構成で示していく。猫たちと静かな生活を送りながら、隣人の移民の子どもと交流を重ね、絵を描き続ける日々。リビングのテレビには、小津安二郎やアンドレイ・タルコフスキーらの映画の一場面が流れていく。他方で2020年に起きた港湾の大爆発事故、反政府デモの様相、経済危機に追い討ちをかけるウクライナ戦争の勃発も、彼らの日常と地続きの出来事として記録された。崩壊する世界を生きること、そこに芸術が存在する意義にも迫っていく。(TS)



【監督のことば】美は世界を救えるか? 芸術は人を現実から救ってくれるのか? 美的なものと政治的なもの、また個人的なものと普遍的なものを融合させたアプローチで、この映画はこれらの問いに答えようとする。洪水の時代に実在するノアの方舟として、映像が持つ救いの力に対する熱い信念を表現している作品である。


- アッバース・ファーディル

イラクのバビロン生まれ。フランスで映画を学び、ジャン・ルーシュ、エリック・ロメール、セルジュ・ダネーなどに師事した後、イラクで3本のドキュメンタリーを撮影した。うち、記念碑的作品『祖国 ― イラク零年』(YIDFF 2015優秀賞)は、ロカルノ国際映画祭、ヴィジョン・デュ・レエルなど数々の映画祭で受賞した。2008年、エジプトで自身初の長編映画『Dawn of the World』を撮影。2017年からレバノンを拠点に、同地で2作目のフィクション作品『Yara』(2018)を撮影し、ロカルノ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門で上映された後、ドキュメンタリー作品『Bitter Bread』(2019)がニューヨーク映画祭でワールドプレミア上映された。本作でファーディルのレバノン三部作が完結する。