日本プログラム
●10月9日−12日 [会場]フォーラム4
日本のドキュメンタリー作品の様々な試みを世界に向けて紹介する日本プログラム。沖縄の「終わらない戦後」と真摯に向き合い洞察する『沖縄 うりずんの雨』、アパートの一室で「ことば」と「リズム」が生み出される瞬間に立ち会う『THE COCKPIT』、市営団地に暮らす人々の語りをしなやかに紡ぐ『桜の樹の下』、秩父の情景に普遍性を与える8ミリ撮影作品『PYRAMID ― 破壊の記憶の走馬灯』、劇映画とドキュメンタリーの手法を織り交ぜ日常を「リアル」に切り取る『Voyage』。型にとらわれず、深い思索とみずみずしい躍動を感じさせる5作品を上映する。
- THE COCKPIT
- 2014/カラー/64分
監督:三宅唱 Miyake Sho
日本中どこでもある小さなマンションの一室。そこに集まってひとつの曲を制作する、ヒップホップのミュージシャンOMSBとBim、そして仲間たち。本作は、その制作過程を丁寧に、親密にとらえてゆく。これは創造行為の貴重な記録であると同時に、若者たちのユーモラスで愛おしい日常の記録でもある。
-
沖縄 うりずんの雨
Okinawa: The Afterburn - 2015/カラー、モノクロ/148分
監督:ジャン・ユンカーマン John Junkerman
1945年4月1日、米軍が沖縄本島に上陸。当時、戦場で向き合った元米兵、元日本兵、沖縄住民に取材を重ね、記録映像を交えて、沖縄戦の実情に迫る。また、今日まで米軍基地をめぐる負担を押し付けられてきた、沖縄の差別と抑圧の歴史を描き、辺野古への基地移設問題に繋がる、沖縄の人たちの深い失望と怒りの根を浮かび上がらせる。
-
PYRAMID ― 破壊の記憶の走馬灯
PYRAMID: Kaleidoscope Memories of Destruction - 2015/カラー、モノクロ/50分
監督:笹久保伸 Sasakubo Shin
埼玉県秩父で古くから神の山として崇められてきた武甲山は、鉱山として日常的に採掘されている。武甲山の破壊の記憶を8mmフィルムを使い走馬灯のように描いた、秩父のアート集団・秩父前衛派による映像作品。
-
桜の樹の下
Under the Cherry Tree - 2015/カラー/92分
監督:田中圭 Tanaka Kei
-
戦後復興から高度経済成長の時代に、発展の根底を労働者として支えてきた人々が、「現在」一人で暮らす川崎市の団地をオムニバス形式で描く。川崎市にある野川西団地も、居住者の多くは身寄りのない独居老人だ。87年生まれの若き監督が、社会の片隅で静かに暮らす人々の赤裸々な日常を映しとる。