アジア千波万波
●10月9日−13日 [会場]フォーラム3、5
荒削りでもキラリと光るアジア18作品と、招待2作品。場所や時を軽やかに超え、作り手の想いが交錯する自由なアジアの世界へ、いざ!
(英語題アルファベット順)
アジア千波万波 特別招待作品 |
- 審査員
- 川上皓市(日本/撮影監督、日本映画大学教授)
- 上映作品:
- 『紙屋悦子の青春』監督:黒木和雄/撮影:川上皓市/2006/111分
- 上映作品:
- 『学校に行きたい』監督:ガルギ・セン/2009/33分
『テレビは誰のもの?』監督:ガルギ・セン/2002/56分
A
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銅山の村
The Copper Village - ネパール/2015/90分
監督:ディペシュ・カレル、フローデ・ストラース Dipesh Kharel, Frode Storaas
西ネパールの400年続いた銅山の村。元技術者と村人たちによって、失われつつあった採掘と精練が賑やかに再現され、村の生活や祭とともに映像文化人類学の目が記録する。
B
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ディスタンス
Distance - 日本/2015/80分
監督:岡本まな Okamoto Mana
離婚してばらばらに生活している、父、母と祖母、兄夫婦。昔の楽しいホームビデオを挿み、過去と現在を見つめ直す。兄の結婚式に久しぶりに皆が集まって……。函館在住の監督の初作品。
C
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太った牛の愚かな歩み
Foolish Steps of a Fat Cow - ボスニア・ヘルツェゴビナ、シンガポール、ドイツ/2015/20分
監督:ガージ・アルクッツィ Ghazi Alqudcy
監督をベルリンへと駆り立てる罪悪感とは。異郷の地サラエボを抜け出し、過去を逡巡しながら自身の心の奥底を見つめる。『鉱』と同じく監督はタル・ベーラの映画プログラムで学ぶ。
- 太陽の子
Anak Araw - フィリピン、アメリカ/2013/64分
監督:ジム・ランベーラ Gym Lumbera
自分はアメリカ人の子だと信じているフィリピン人青年が、辞書を手がかりにアメリカのことばを手に入れようとする。モノクロの映像に焼付けられた、太陽の子の奇想天外な冒険物語。
D
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きらめく拍手の音
Glittering Hands - 韓国/2014/80分
監督:イギル・ボラ Lee-Kil Bora
監督の両親が表情豊かに手話で語る青春、恋愛、子育ての思い出に、音のある世界で育った子どもらの思いが重なりあう。苦労も幸せも失敗も……ある1つの家族の姿が描かれる。
E
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離開(りかい)
Gone - 中国、ドイツ/2015/78分
監督:金行征(ジン・シンジョン) Jin Xingzheng
一人っ子政策の影響で、廃校になる学校が増えている。生徒が減り続ける浙江省中部の山岳地帯にある学校の日常と、過疎化した村に住む人々の語りからは、厳しい現実がにじみ出る。
F
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わたしはまだデリーを見ていない
I Am Yet to See Delhi - バングラデシュ、インド/2014/19分
監督:フマイラ・ビルキス Humaira Bilkis
映画を学ぶために滞在したデリーの路上で、市場で、モスクで、観光地で「私」はここに存在する人たちの息づかいに耳を澄ましながら、自身の思いを重ね合わせ、街の音色を奏でる。
-
たむろする男たち
Standing Men - フランス、レバノン/2015/55分
監督:マーヤ・アブドゥル=マラク Maya Abdul-Malak
パリの街角のお店から親しげに話すアラビア語が聞こえてくる。異郷の地で暮らす男たちが集う空間に、かつて監督の父がレバノンの家族にあてた手紙が呼応し、郷愁の想いが時をとめる。
G
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見つめる(特別版)
Look Love (special version) - 中国/2015/176分
監督:葉雲(イエ・ユン) Ye Yun
湖南省に暮らす少年と父、北京の全寮制の学校に通う少女と母。互いへの思いがすれ違い、右往左往する状況に監督は寄り添いながら、カメラを媒介として普段は言葉にしない思いを引き出す。
H
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テラキスの帰郷
Millets Back Home - 台湾/2013/72分
監督:莎韻西孟(サーユン・シモン) Sayun Simung
タイヤル族の地で穀物(テラキス)作りを続けるおばあさん。美しい山々や畑のもとで、失われつつある伝統を守ろうとする村人たちの生活が生き生きと描かれ、帰郷した監督の部族への思いが募る。
I
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私の非情な家
My No-Mercy Home - 韓国/2013/75分
監督:アオリ Aori
自分の話を聞いて欲しいと監督に声をかけたドルフィンは、中学時代に父親から性的暴行を受けていた。妹を同じ被害にあわせたくない一心で、母親や親戚に反対されながらも裁判にかける。
J
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虐げられる者たちよ
O, Persecuted - イギリス、パレスティナ/2014/12分
監督:バスマ・アルシャリーフ Basma Alsharif
パレスティナの上空を飛ぶ爆撃機、PFLPの戦士たち、シェルターに身を隠す人々。1974年に製作されたカーセム・ハワル監督作品のフッテージを使い、抑圧された者たちが占領者たちに突きつける。『私たちは距離を測ることから始めた』が、YIDFF 2011 アジア千波万波で上映された。
- 鉱(あらがね)
ARAGANE - ボスニア・ヘルツェゴビナ、日本/2015/68分
監督:小田香 Oda Kaori
ボスニアの炭坑で黙々と働く坑夫たち。絶え間なく響く音のなかで、カンテラの光と闇にうごめく彼らをひたすら見続ける。監督はサラエボの大学院のタル・ベーラの映画プログラムで学ぶ。
K
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七度目の祈り
The Seventh Wish - インド/2014/27分
監督:ヴァルン・トリカー Varun Trikha
共に集い、語り、踊り、嘆き、愛する女たち。ウルドゥー古典詩に編まれた欲望と、歴史的記憶をとどめる霊を手がかりに、「女たちの空間」が詠われた詩の現代世界を探求する。
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ミーナーについてのお話
A Report about Mina - イラン/2014/54分
監督:カウェー・マザーヘリー Kaveh Mazaheri
新年の祭の喧噪をよそに、テヘランの公園の片隅で暮す女性ミーナー。犬と戯れ、クスリや煙草を求めてくるホームレスたちとたわいない会話を交わし、ゴミの傍らで寝る14日間。
L
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蛇の皮
Snakeskin - シンガポール、ポルトガル/2014/105分
監督:ダニエル・フイ Daniel Hui
2066年、ある男が手渡された2014年のシンガポールのフィルム。その時代に生きる人たちが語る私的な物語とこの地の抑圧と抵抗の歴史の残像が交錯しながら、時空を超えてあぶりだされる。
M
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船が帰り着く時
When the Boat Comes In - ミャンマー、ドイツ/2014/30分
監督:キン・マウン・チョウ Khin Maung Kyaw
海で穫れた魚や海老をその場で加工する漁村の暮らしには、厳しい生活とは裏腹に、ゆったりとした空気が流れる。そんなある日、政府から一ヶ月間の漁停止が通達された。
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ラダック それぞれの物語
Each Story - インド、日本/2014/40分
監督:奥間勝也 Okuma Katsuya
北インドに住むジグメットとスタンジンの夏休みの宿題は、ラダックに伝わる「ケサル物語」について調べること。川や町で遊びながら、大人たちからそれぞれの物語を受け取っていく。『ギフト』が、YIDFF 2011 アジア千波万波で上映された。
アジア千波万波 特別招待作品
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革命まで
Almost a Revolution - 香港/2015/174分
監督:郭達俊(クォック・タッチュン)、江瓊珠(コン・キンチュー) Kwok Tat Chun, Kong King Chu
2013年、民主的な選挙を求めて市民的不服従を呼びかけたベニー・タイ教授を起点に、いわゆる雨傘革命に至る過程とその現場を、渦中にいた7人の活動家たちを通して刻々と記録する。
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太陽花(ひまわり)占拠
Sunflower Occupation - 台湾/2014/120分
監督:太陽花運動映像記録プロジェクト Sunflower Occupation Documentary Project
2014年3月18日、中台サービス貿易協定の撤回を求め、学生らが台湾立法院に突入。24日間に渡って議場を占拠した。多くの独立映像製作者が参加し、様々な角度から占拠を包括的に捉える。