Double Shadows/二重の影――映画が映画を映すとき
●10月9日−14日 [会場]山形市中央公民館ホール(6F)、山形美術館1、2、5、
フォーラム4、5
映画について語る映画とは、映画好事家のためにだけあるものだろうか? 「シネフィルの消滅」「映画の死」という言葉を出すまでもなく、観終ったばかりの映画を話す場所自体が、私たちの生活から失われているのではないか。本特集では、映画誕生から約120年を経た今日において、映画史あるいは映画そのものを主題とし、被写体とした作品を上映する。
映画と映画の重なり合う影――それは、映画による「自分探しの旅」だと言うことができるかもしれない。家族によって撮られたホーム・ムーヴィー、子どもの頃から観てきた映画は、「時代」や「歴史」を映し出す。しかしその試みは、個人の記憶であると同時に、私たちを時間のなかに刻みこむ。「過去」は「過去」であることを止め、映画と観客との距離を揺り動かす。おびただしい私的な映像の流れを辿ることで故国が甦り、フッテージが繋がれることで存在に生が与えられる。あるいはまた、複数の映像が重なり合うことで、そこからはみ出てしまったもの、忘れられてきたものへの眼差しが、新たに生まれることもあるだろう。上映、シンポジウム、展示によって構成される本特集は、「映画祭」という場において、自閉的試みを越えて、映画的記憶の今日的なあり方を問うものとなるだろう。
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『訪問、あるいは記憶、そして告白』監督:マノエル・ド・オリヴェイラ/1982/68分(YIDFF 2015 オープニング上映)
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『映画が時代を写す時 ― 侯孝賢とエドワード・ヤン』監督:是枝裕和/1993/47分(参考上映)【入場無料】 - 上映後トーク:秋山珠子(立教大学、中国文化研究者、字幕翻訳家)、阿部マーク・ノーネス(ミシガン大学)
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『瞬く光の陰で』監督:ハフィズ・ランチャジャリ/2013/155分(アジア・フィルム・コミュニティ)
『ロサンゼルスによるロサンゼルス』監督:トム・アンダーセン/2003/170分
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『フランスは我等が故国』監督:リティ・パン/2014/75分(特別招待作品)
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『東洋のイメージ ― 野蛮なるツーリズム』監督:イェレヴァント・ジャニキアン、アンジェラ・リッチ・ルッキ/2001/62分
『ニース ― ジャン・ヴィゴについて』監督:マノエル・ド・オリヴェイラ/1983/58分
『ジャン=リュック・ゴダール、さらけ出された無秩序』監督:オリヴィエ・ボレール、セリーヌ・ガイユール/2012/65分
『リメイク、リミックス、リップ・オフ』監督:ジェム・カヤ/2014/96分
『僕と兄』監督:ロバート・フランク/1969/91分
『ナイトレート・フレームス』監督:ミルコ・ストパー/2014/61分
『赤い灰』監督:アドリアーノ・アプラ、アウグスト・コンテント/2013/60分
『エマク・バキアを探して』監督:オスカー・アレグリア/2012/84分
『我等の時代の映画作家シリーズ ― ジョン・カサヴェテス』監督:アンドレ・S・ラバルト、ユベール・クナップ/1969/49分
『映画』監督:森田芳光/1971/31分
『すべては終わりから始まる』監督:ルイス・オスピナ/2015/208分
『オリジナル/コピー』監督:フロリアン・ハインツェン=ツィオープ、ゲオルグ・ハインツェン/2015/95分
『映像の発見=松本俊夫の時代』監督:筒井武文/2015/700分 -
第I部 記録映画篇(137分)
第II部 拡張映画篇(153分)
第III部 劇映画篇(140分)
第IV部 実験映画篇(109分)
第V部 映画運動篇(161分)
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『訪問、あるいは記憶、そして告白』監督:マノエル・ド・オリヴェイラ/1982/68分(YIDFF 2015 オープニング上映)