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オリジナル/コピー

Original Copy

- ドイツ/2015/ヒンディー語、英語/カラー/Blu-ray/95分

監督、脚本、製作:フロリアン・ハインツェン=ツィオープ、ゲオルグ・ハインツェン
撮影:エンノ・エンドリッハー
編集:フロリアン・ハインツェン=ツィオープ
録音:ロベルト・ケルバー、カイ・ホルツケンパー
製作会社:polyphem Filmproduktion
提供:MAGNETFILM

ムンバイに住む、町で最後の映画看板描き、シェイク・レーマンを静かに見つめる作品。ヒンディー映画を上映する古い映画館のスクリーンの裏側に、伝統的な匠の技が光る、彼のアトリエがある。芸術家であると同時にグルでもあり、喜劇俳優でもあると同時に哲学者でもあるようなレーマン。しかし、近代化の波と、かつて気晴らしと娯楽を求め映画館にやってきていた世代の減少という現実が降りかかる。施設の老朽化に直面した映画館は、マーケティングの方向性を変え、レーマンの職を奪い、人目を惹くためにプラスティック製の看板を採用する。希望なき闘い――しかし、諦めることなく描き続けるその姿に、「継承」のテーマが込められている。



東南アジアにおけるアーカイヴの未来
瞬く光の陰で

Behind the Flickering Light (The Archive)
Anak Sabiran, Di Balik Cahaya Gemerlapan (Sang Arsip)

- インドネシア/2013/インドネシア語/カラー/Apple ProRes File/155分

監督、脚本、編集、製作:ハフィズ・ランチャジャリ
撮影:シャイフル・アンワル
出演:ミスバッハ・ユサ・ビラン、マハルディカ・ユダ、ファド・ファジ、ハフィズ・ランチャジャリ
提供:Forum Lenteng

インドネシアの映画上映・保存活動を牽引してきたミスバッハ・ユサ・ビランの人生を描く作品。困難な政治的・経済的な条件のなかで、東南アジア初のフィルム・アーカイヴ、シネマテーク・インドネシアを築き上げた伝説的なアーキヴィストの情熱とインドネシア映画史が交差する。



ナイトレート・フレームス

Nitrate Flames

- ノルウェー、アルゼンチン/2014/英語、スペイン語、フランス語、デンマーク語/カラー、モノクロ/Apple ProRes File/63分

監督、脚本:ミルコ・ストパー
撮影:ディエゴ・ポレリ
編集:トルケル・ユルヴ
録音:ホーコン・ラマトゥン
音楽:サンティアゴ・ペドロンチーニ
美術:ヤミラ・フォンタン
製作:トーレ・ビュヴァルプ、ペテル・ボーエ
提供:Norwegian Film Institute

カール・テオドア・ドライヤーにとってのジャンヌ・ダルクに何が起こったのか? ルネ・ファルコネッティの顔は、映画史において最も聖性を帯びたイメージとして記憶されている。映画は、彼女が女優として輝きに満ちていた1920年代のパリから、惨めな生活のなかで、ブエノスアイレスで孤独に死を迎える40年代まで、その人生の光と影を追う。それは、ドライヤーの作品が辿った運命と併走して描かれる。80年代初頭に、ノルウェーの精神病院で、長年埃を被ったまま放置されていた『裁かるるジャンヌ』(1928)のオリジナル・プリントが発見される。その時、女優の生とフィルムの生は再び出会うことになるだろう。



フランスは我等が故国

France Is Our Mother Country
La France est notre patrie

link 特別招待作品参照



東洋のイメージ ― 野蛮なるツーリズム

Images of the Orient--"Vandal Tourism"
Images d'Orient--"Toursime Vandale"

- イタリア、フランス/2001/フランス語/カラー、モノクロ/Apple ProRes File(原版:16mm)/62分

監督、脚本、編集、提供:イェルヴァン・ジャニキアン、アンジェラ・リッチ=ルッキ
声:ジョヴァンナ・マリーニ
音楽:ジョヴァンナ・マリーニ、フランチェスコ・マリーニ、ルイス・アグド
テキスト:アンリ・ミショー、ミルチャ・エリアーデ
協力:Tele+
製作会社:Arte France

ジャニキアンとリッチ=ルッキは、アーカイヴをくまなく調査し、ファウンド・フッテージを集め、染色し、それらに再編集を施すという手法によって映画を制作してきた。歴史を編み直し、詩を吹き込み、過去に生を与えるかのような彼らの作品は、とりわけ、20世紀初頭の戦争と植民地を対象としてきた。本作では、反植民地主義の機運高まる1928年と29年にインドで撮影された、イギリスの上層ブルジョワジーの家族のポートレイトの分解を試みている。家族や親しい友人を映し出す映像に、ジョヴァンナ・マリーニによって歌い上げられるアンリ・ミショーとミルチャ・エリアーデのテキストが重なり合い、異国趣味(エキゾティシズム)に裏付けられた他者との関係が露わになる。それぞれのフォトグラムの奥底で、すなわち、イメージの後景において、私たちはその痕跡を見出すことになる。カメラの前で自分たちの姿を無邪気にさらけ出す富裕層と並行して、貧困と、搾取される土地、魂、そして労働者や子どもたちが私たちの眼前に現れる。『Pays barbare』(2013)にも描かれる植民地主義的なツーリズムは、探検家の時代のそれとは明らかに異なっている。大衆のツーリズムに対する渇望は野蛮なものと化し、時代を覆い尽くす。



映像の発見=松本俊夫の時代

Discovering Images--The Age of Matsumoto Toshio

- 日本/2013/日本語/カラー/Blu-ray/700分

第 I 部:記録映画篇(137分)、第 II 部:拡張映画篇(153分)、第 III 部:劇映画篇(140分)、第IV部:実験映画篇(109分)、第V部:映画運動篇(161分)

監督:筒井武文
プロデューサー:武井登美
撮影:瀬川龍、小野寺真、鈴木達夫
照明:市川元一 録音:山崎茂樹
助監督:加地耕三 編集:山崎梓
サウンドデザイン:森永泰弘
タイトルデザイン:上村浩二
出演:松本俊夫、川村健一郎、藤原智子、湯浅譲二、観世栄夫、一柳慧、佐々木守、工藤充、高山英男、畠山滋、波多野哲朗、かわなかのぶひろ、金井勝、渡辺哲也、 佐々木伯、菊池滋、押切隆世、中条省平、坂尻昌平、西嶋憲生、松本正道
製作会社:プロダクション・バンブー
提供:筒井武文

映像作家という呼称を初めて使った松本俊夫(1932−)は、記録映画から出発しながら、アヴァンギャルドとしての方法論を取り入れ、日本の前衛映画の確立に大きな役割を果たした。1958年から63年までの映画論をまとめた最初の評論集『映像の発見 ― アヴァンギャルドとドキュメンタリー』(1963)は、当時、映画を志した青年たちに大きな影響を与えたほか、石堂淑朗や大島らとの間で熱い論争が繰り広げられた。本作は、日本における松本の理論的指導者という側面に光を当てるにとどまらず、ラジオ、テレビ、演劇、CF、拡張シネマ、劇映画、実験映画、インスタレーションと多岐に広がる松本の活動の軌跡を辿りつつ、戦後映画史の再読を試みるものである。撮影のための取材は2003年から始まり、川崎市市民ミュージアム(2006)、愛媛県の久万美術館(2012)における大規模な回顧展のドキュメントを含め13年まで続けられた。