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アジア千波万波×Double Shadows/二重の影スペシャル



 これまで書かれてこなかった、そして、未だ書かれていない東南アジア映画史に光を照射するコラボレーション企画。シンポジウム、インスタレーション作品の展示、作品上映によって浮かび上がる、政治的、経済的、芸術的な東南アジア映画の課題は、けっして、地域、あるいは映画というメディアのみに限定されるものではないだろう。


展示 時をつなぐフィルムの糸 ― Lab Laba-Laba インスタレーション

Lab Laba-Labaは、ジャカルタに拠点を置くアーティスト集団であり、消えつつある映画文化を保存、整理、公開しながら、今日の視聴覚文化のなかに多様性をもたらすことを試みている。彼らは、インドネシア国立映画製作所(PFN)の敷地を無償で借りる代わりに、PFN所蔵の映画フィルムや機材の管理・修復を行うほか、ワークショップやセミナー、展覧会を開催している。YIDFF 2015では、残された文化遺産の継承と更新をテーマに、Lab Laba-Labaの2人のアーティストを招待し、彼らのインスタレーション作品を展示する。

展示作品: 
エドウィン『カッティング・フィルム
(2015/16mm/90秒ループ・三面上映)
リツキ・ラズアルディ『ハード・ボイルド
(2015/35mmリバーサルフィルム/スライド・ビューアー)

日時:109日[金]−14日[水]10:30−16:00
会場:旧西村写真館 *入場無料


上映 東南アジアにおけるアーカイヴの未来

法制度や財政的な基盤の限られるなかで、未整備な部分の大きかった東南アジアの映画・映像アーカイヴの未来とは? 東南アジア初のフィルム・アーカイヴ「シネマテーク・インドネシア」を創設したミスバッハ・ユサ・ビランの人生と、インドネシア映画の交錯を描いたドキュメンタリー『瞬く光の陰で』を上映する。




シンポジウム ファウンド・フッテージの想像力

既存の映画やニューズリールの断片をつなぎ合わせる「ファウンド・フッテージ」という手法は、ジョゼフ・コーネルやブルース・コナーなど、これまで欧米の作品によって広く知られてきたが、近年では、アジアにおいても再び関心が高まっている。本シンポジウムでは、その背景について、「保存」「展示」「作品制作」の立場で映画に携わるパネリストを迎え、議論を行う。記憶、生、夢を映し出す映像の断片が、見出され、活用され、時をつなぐとするならば――アーカイヴの使命と課題を提起する。

パネリスト:
エドウィン(映画監督/Lab Laba-Laba代表)
チャリダー・ウアバムルンジット(アーキヴィスト/Salaya Docs)
ユキ・アディッティヤ(映画祭ディレクター/Forum Lenteng)
ほか
モデレーター:とちぎあきら(東京国立近代美術館フィルムセンター)