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赤い灰

Red Ashes
Rosso Cenere

- フランス、イタリア/2013/イタリア語/カラー/Apple ProRes File/60分

監督:アウグスト・コンテント、アドリアーノ・アプラ
脚本:ケニア・ザナッタ、アウグスト・コンテント、アドリアーノ・アプラ
撮影、編集:アウグスト・コンテント
録音:ケニア・ザナッタ
音楽:アレッサンドロ・チェライ、スティーヴ・ピーターズ、ジョン・ティルベリー、マシンファブリーク
出演:アドリアーノ・アプラ、ルイジ・ザイア、アルフレード・ジョルジアーニ、マリオ・ザイア(ザザ)、ステファニーノ・チンコッタ、ジュリアーナ・アダモ
共同製作:Luce Cinecitta, Rossellini Film & TV, Kimerafilm, Canal+
製作会社、提供:Cineparallax

本作は、詩情と謎と幻想に満ちたストロンボリ島と、1950年にロベルト・ロッセリーニによって製作された『ストロンボリ、神の土地』に関する探求そのものだと言えよう。そのために、ロッセリーニ作品の復元プリント、ヴィットリオ・デ・セータによるエオリア諸島のドキュメンタリー映画『Isole di fuoco』(1955)、そして、『ストロンボリ、神の土地』で主演を務めたイングリッド・バーグマンのオフ・シーンを撮影した未公開映像といった、アーカイヴ・フッテージが用いられている。映画には、1950年の撮影現場に直接参加をした二人を含む、島の住人たちが4人、そして、ネオレアリズモを代表する映画監督として知られるロッセリーニ研究の泰斗、映画批評家アドリアーノ・アプラが登場する。彼らの言葉、静と動の側面を併せ持つ火山島の現在、過去と未来とを映し出す映像の断片によって、ストロンボリの姿が明らかになっていく。



-エマク・バキアを探して

The Search for Emak Bakia
Emak Bakia Baita

スペイン/2012/バスク語、フランス語、イタリア語、スペイン語/カラー、モノクロ/Blu-ray/83分

監督、脚本、撮影、編集、製作:オスカー・アレグリア
音楽:モルセゴ、レイヌア・ダンツァ・タルデア、エマク・バキア、エル・イホ、アベル・エルナンデス、リチャード・グリフィス、ルペル・オルドリカ
音響:アベル・エルナンデス

1926年、マン・レイ(1890−1976)は、南フランスで一本の映像詩を制作する。作品は「エマク・バキア」と名付けられたが、バスク語で「放っておいて」を意味する。本作は、このマン・レイの映画とその題名に関するオスカー・アレグリアの疑問から出発する。題名は、映画の撮られたビアリッツ近郊の家の名に由来するのだろうか? あるいは、墓碑銘に因むものなのか? その家については、3つの手がかりしか残されていない。正面玄関、窓をはさむ二本の円柱、海岸沿いの一角。かつてのイメージによって探そうとしても、それは容易には進まない。アーカイヴのリストには何も残されておらず、現在では誰もその家のことを覚えていない。アレグリアは、偶然や風を頼りにして、答えを探し求めていく。



映画が時代を写す時 ― 侯孝賢(ホウ・シャオシェン)とエドワード・ヤン

When Cinema Reflects the Times--Hou Hsiao-Hsien and Edward Yang

- 日本/1993/日本語/カラー/Blu-ray(原版:HDCAM)/47分

取材、構成、製作:是枝裕和
企画:前川万美子、河合徹
ナレーション:柄本明
撮影:鈴木克彦 VE:池義明
編集:中村幸弘 MA:斎藤直人
選曲:宮田有子 取材補:佐藤志保
製作会社:テレビマンユニオン、フジテレビ

1980年代から90年代にかけ、それまでの商業映画とは一線を画した映画製作を行い、国際的に注目された「台湾ニューシネマ」。フジテレビによるNONFIXシリーズとして放映された本作は、その展開をともに牽引しつつ、ライバルであり続けた侯孝賢(1947−)とエドワード・ヤン(1947−2007)を対照的に描く。撮影のために光を待ち続ける侯孝賢と、スタッフや出演者に論理的かつ有機的に指示を出すエドワード・ヤン。二人のスタイルの相違は、台湾の背負ってきた歴史をも浮き彫りにする。かつては存在していた映画館の消失もまた、スクリーンの映し出す、時代や社会に対する映画の眼差しを私たちに静かに呼びかける。



-ロサンゼルスによるロサンゼルス

Los Angeles Plays Itself

アメリカ/2003/英語/カラー、モノクロ/Blu-ray/169分

監督、調査、テキスト、製作:トム・アンダーセン
撮影:デボラ・ストラットマン
編集:ユ・スンヒョン
録音:ソー・モーゼル、クレイグ・スミス
ナレーション:エンケ・キング
提供:The Cinema Guild

映画において、ロサンゼルスがいかに舞台として用いられ、描かれてきたかを考察する、トム・アンダーセンによる映画史。その大部分が他の映画作品からの引用によって構成されているため、長きにわたり商業公開されることがなかったが、2014年にリマスターおよび再編集作業を行いソフト化された。『深夜の告白』(1944)、『チャイナタウン』(1974)、『ブレード・ランナー』(1982)をはじめとする数多の映画作品からの引用は、「背景としてのロサンゼルス」、「登場人物としてのロサンゼルス」、「主題としてのロサンゼルス」の三つのテーマに分類される。実景とナレーションが加わることにより、繁栄と暗部を併せもつ大都市が解体され、ロサンゼルスによって演じられたイメージと現実の差異が浮かび上がる。



我等の時代の映画作家シリーズ:ジョン・カサヴェテス

Cinéastes de notre temps: John Cassavetes

-フランス/1969/英語/モノクロ/Digital BETACAM(原版:16mm)/49分

監督:アンドレ・S・ラバルト、ユベール・クナップ
助監督:リュック・ベロー
撮影:ダニエル・カルド、ジャン=イヴ・コイック
編集:リーズ・ボリュー、クロード・ビュレル
出演:ジョン・カサヴェテス、ジェリー・ハワード、ジーナ・ローランズ、ジョージ・シムス
製作:ジャニーヌ・バザン、アンドレ・S・ラバルト
製作会社:ORTF
提供:Institut National de l'Audiovisuel (INA)

1965年、ジョン・カサヴェテス(1929−89)は、『フェイシズ』の編集作業を開始する。『アメリカの影』(1959)の経験を踏まえ、ハリウッド映画の対極に自らを位置づけるカサヴェテスは、自宅のガレージを編集室に改築し、自分のワークショップに参加した学生たちがその作業を手伝った。3年後、『フェイシズ』の編集は終わり、ヴェネチア国際映画祭に参加するため、妻のジーナ・ローランズを伴ってパリへ立ち寄ったカサヴェテスは、再びインタビューに応える。確信に満ちた彼の表情は、インディペンデント映画の創生を告げるものだと言えるだろう。