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フランスは我等が故国

France Is Our Mother Country
La France est notre patrie

- フランス、カンボジア/2015/フランス語/カラー、モノクロ/Blu-ray/75分

監督、脚本:リティ・パン
助監督:ルン・ナリット
撮影:リティ・パン、プラム・メサール
撮影助手:コー・ラタニ
編集:リティ・パン、アンナ・ボリー
録音:シア・ヴィサール
音楽:マーク・マーデル テキスト:クリストフ・バタイユ
製作:カトリーヌ・デュサール
製作会社:CDP、BOPHANA PRODUCTION、ECPAD
提供:CDP

植民地化という過程におけるふたつの文化、ふたつの感受性、ふたつの想像の世界の、出会いの失敗をめぐる物語。主に20世紀初頭からディエンビエンフー陥落までのフランスの旧植民地インドシナのフッテージ映像をもとに、植民地の支配関係と暴力が創造的な編集によって浮かび上がってくる。それは、痕跡としての映像が現在に生き生きと蘇ってくるような複層的な時間の体験を導く。



【監督のことば】この映画は、仏領インドシナの記憶を呼び覚ますものである以上に、それについてイメージで黙考するものである。フランスとカンボジアというふたつの文化を受け継ぐ映画作家としての私は、植民地インドシナをただ政治的・歴史的観点から考察するにとどまらず、ふたつの文化、ふたつの文明が結婚を強いられた結果生まれた子どもたちの末裔としての自分を意識せずにはいられない。そして、人が生きる時間では間々あることだが、時の流れが暴力を消し去り、トラウマを和らげ、均衡を回復させたがゆえに、私はいま、この二重の血統を僥倖や豊かさの源泉として生きることができている。それはあたかも、対立を乗り越えた人間的な伝播によって、再生と償いという希望の萌芽が運ばれてきたかのようである。

 私の意図はお決まりの表現を避けることにある。この映画は、反植民地主義を代弁するものでも、自らのアイデンティティを主張するものでも、歴史絵図を紐解くものでもない。それは、時間、記憶、眼差しをめぐって、これまで私が取り組んできた映画的省察と連続しているのである。


- リティ・パン

1964年カンボジア生まれ。カンボジアとフランスに市民権を持つ映画監督、作家、プロデューサー。フランスの高等映画学院を卒業。カンボジアで大虐殺を行ったクメール・ルージュ体制、彼自身その体制からの亡命者でもあったその時代の、現在にまでおよぶ余波に焦点をあてた作品を作り続けている。『Rice People』(1994)をはじめ国際的評価を得たものも多く、『さすらう者たちの地』(2000)はYIDFF 2001でロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)を、『S21 クメール・ルージュの虐殺者たち』(2002)はYIDFF 2003で優秀賞をそれぞれ獲得している。YIDFFでは、2005年に『アンコールの人々』(2003)、2007年に『紙は余燼(よじん)を包めない』(2006)も上映されている。また『消えた画 クメール・ルージュの真実』(2013)は、カンヌ映画祭「ある視点」部門でグランプリを受賞した。2006年にはイウ・パナカルとともに、プノンペンにボパナ視聴覚資料センターを開設。カンボジア・フィルム・コミッションの創設(2009年)にも中心となって関わり、2008年からはワークショップを開催しながら、カンボジアの若き映画作家たちの育成に力を注いでいる。