三都大学交流プログラム
山形映画祭が回を重ねるなか、映像製作系の教育機関が多数誕生し、学生たちが大挙して山形に集うようになった。地元の学生との交流も非常に盛んになり、今回、独自のプログラムが企画されることとなった。海外からは、昨年の杭州アジア映画祭に、事務局スタッフが審査員として招かれ、中国美術学院より山形への参加を希望する提案があった。ミラノ大学は「ドクシティ」という映画祭を開催し続けており、今年は東北芸術工科大学の大学院生の作品が招待上映されている。本特集では、山形、杭州、ミラノの作品に加え、芸工大の姉妹校である京都造形芸術大学の作品を上映する。未来の山形映画祭を担う作家たちの、映像に対する多彩な取り組みをじっくりと観ていただきたい。
東北芸術工科大学 プログラム1
蟻地獄
A Doodlebug's Pit- 2013/カラー/12分
監督:広井砂希
ある男性フリーターが住むアパートの一室、ちょっとした弾みで、洗濯機にお尻がはまってしまった青年のドラマ。この蟻地獄からどうやって抜け出せば良いのか?
それからの子供
Kids After It- 2013/カラー/92分
監督:加藤拓人
親が残した二階建ての一軒屋で一人暮らしする主人公の元に、いつの間にか様々な人々が集まってくる。一見、疑似家族のようになってきた人間関係も、そう長続きするはずはない。
東北芸術工科大学 プログラム2
share
- 2013/カラー/28分
監督:中島唯
性同一性障害をテーマにした劇映画『僕らの未来』(飯塚花笑監督)に主演したことがきっかけで、自らもカミングアウトすることになった作者のセルフドキュメンタリー。
三人娘の三つの秘密
The Three Girls and Their Three Secrets- 2013/カラー/30分(オムニバス)
監督:斎藤里沙、和田はる菜、二瓶知美
3人の女性監督が、自分にとっての大切な秘密を映像化した日記映画。一見平凡で退屈な日常には、キラキラとしたドラマが溢れかえっている。
でいどろ
Deidoro- 2013/カラー/3分
監督:舩山寛子
心理学的実験からヒントを得た抽象的、具象的な造形が時間軸上でリズミックにぶつかり合うアニメーション。
雛の首
The Hina Doll's Head- 2013/カラー/3分
監督:舩山寛子
お雛様に対しての伝統的な呪縛や過大な期待に反発し、アニメーションを描くことでステレオタイプな女性観から解放されようと試みている。
時間
Time- 2013/カラー/4分
監督:前田結歌
動きを表現するのがアニメーション製作の醍醐味と言えるが、動かないものに時間の流れを与えることはできないものだろうか?
ヘンリー
Henri- 2013/カラー/4分
監督:前田結歌
Aの画面からBの画面へと徐々に変化させて行くモーフィングという基本的なエフェクトの使い方をあえて逆転し、エラーとも言える現象から、ゆがみや揺らぎを作り出し“男女両性具有”のテーマを表現しようとしている。
Halcyon days
- 2013/カラー/23分
監督:風間太樹
見えない力によって記憶の学校に呼び寄せられた主人公宛に何処からともなく届いた何通かの手紙。記憶と幻想が入り交じりながら、不思議なドラマが展開して行く。