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ハイウェイ
Highway

フランス、ドイツ/1999/カザフ語 /カラー/35mm(1:1.66)/54分

監督・編集:セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ
撮影:アリシェフ・カミドダエフ
録音:サルフェン・サライバエフ
製作:シャンタル・バーンハイム
製作会社・提供:デューン
配給:ジェーン・バルフォア・フィルムズ
(Jane Balfour Films)
Burghley House, 35 Fortess Road, London NW5 1AQ, UK
Phone: 44-171-2675392 / Fax: 44-171-2674241
E-mail:jbf@janebalfourfilms.co.uk




セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ
Sergei Dvortsevoy


1962年、カザフスタン、チムケント生まれ。ウクライナで航空工学を修めたのち、カザフスタンで航空技師として働く。その傍らノヴォシビルスク工科大学の理工学部で勉強を続ける。1990年から93年までモスクワで脚本と映画監督術を学ぶ。監督・脚本・製作・編集を1人でこなした第1作『パラダイス』(1995)は、1997年の本映画祭アジア千波万波で上映され奨励賞を受賞。他に、サンフランシスコ、ニヨン、シュトゥットガルト、キエフ、サンクトペテルブルグ、ライプツィヒ、そしてパリのシネマ・デュ・レエルなどの映画祭で賞を獲得した。2作目の『パンの日』(1997)も1998年アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭でヨリス・イヴェンス賞にノミネートされた他、数々の賞を受賞している。『ハイウェイ』は3作目にあたる。

前回の「アジア千波万波」で上映された『パラダイス』や、昨年の台湾ドキュメンタリー映画祭で審査員特別 賞を受賞した『パンの日』など、ユニークな作品で知られるセルゲイ・ドヴォルツェヴォイ監督の最新作。中央アジアとモスクワを結ぶハイウェイを、古いバスで旅する大道芸人の家族を描いた作品である。両親と1歳から16歳まで6人の子供からなるタジバジェフ一家は、カザフスタンのステップ地帯を走りながら、ハイウェイ沿いの村や集落で、長男が32キロの鉄玉 を口に吊り下げたり、幼い子供がガラスの破片の上を歩いたりする大道芸を見せて生計を立てている。そんな一家の日常的な営み―ある時は少ない観客を前に芸をしたり、ある時は道端にいる幼い鷲を捕まえたり、またある時は食事や休息をとったり―を、カメラは淡々と撮っていく。そこにあるのは、中央アジア独特の時間の流れと空間の連なりであり、そのユニークな描写 によって示されるのは、ソ連崩壊後の厳しい社会変動があろうとなかろうと、生活の営みが厳然と存在するという確かな証ともいえる。 [村山匡一郎]

【監督のことば】
カザフスタン。
地平線まで広がる草原。
太陽と風。
ウイグル人の大道芸人の一家―夫と妻、1才から16才までの子供が6人―が北京からモスクワまで、村から村へ、屋外で大道芸を見せて生計をたてながら、古いバスで移動する。新作映画のカタログ用解説を書くたびに、こんなふうに、単なる言葉の羅列で始めようとして苦労するのですが、うまくいった試しはありません。言葉には面 白いものは何もない。バスのクランクを回し、食べ、眠り、口論をし、愛し合いながらステップを進んでいく人々。言葉の記述では、凡庸で退屈で、驚くようなことはありません。長いこと、どうしてだろうと考えてきました。スクリーンだったら、そんなことないでしょう。そして私がたどりついた結論はこうです―日常生活に宿る美と神秘は、そもそも記述などできるものではないのだから、しようとするだけ無駄 。見て感じるしかない。だから私と一緒に、静かに、そして、じっくり見てください。そこで何か起こるはずです。これが私から『ハイウェイ』の観客へのお願いです。
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