[インド]
夏が語ること
And What is the Summer Saying-
インド/2018/マラーティー語/カラー、モノクロ/DCP/23分
監督、脚本:パヤル・カパーリヤー
撮影:マヤンク・クラーナ
編集:ガンシャーム・シンピ
録音、音響:シュレーヤンク・ナンジャッパー
提供:パヤル・カパーリヤー
男は父に教えられた道を通り、蜂蜜を採りに森に入る。むかし父から聞いたのは、村に虎が現れたという話。木々の葉をそよがせる風が、村のハンモックを揺らす。耳を澄ませば、女たちのささやきが聞こえる。静けさに耳を傾け、月明かりや、仄かな日の光に照らし出される風景を、色彩を抑えた繊細で緻密な映像で描き、夢の中にたたずむような豊かな時間を作り出している。(OM)
【監督のことば】私の興味は、公の場ではなかなか見られたり語られたりしないことにある。秘められた欲望や不安、そして語られることのない愛などが私の作品には頻繁に登場する。これらについて話をすることは、インドでは女性にとって難しいことなのだ。でも静かに腰を下ろし、耳を澄ませて中庭に吹いてくる風を待っていれば、もしかしたらその中に失われた愛についてのささやき声が聞こえてくるかもしれない。私はこの町で何日も過ごした。森の地面に落ちていく木の葉のような、そんないくつもの物語を風が運んでくるのを待ちながら。
パヤル・カパーリヤー
ムンバイ在住の映像作家・アーティスト。インド映画・テレビ学院で演出を学ぶ。監督作『Afternoon Clouds』は2017年カンヌ国際映画祭のシネフォンダシオン部門に選出された。また実験的な短編『The Last Mango Before Monsoon』は、2015年のオーバーハウゼン国際短編映画祭で上映され、FIPRESCI(国際批評家連盟賞)と審査員特別賞を受賞。実験的ドキュメンタリーである本作は、2018年ベルリン国際映画祭でプレミア上映され、同年のアムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭で審査員特別賞を受賞した。現在はロッテルダム国際映画祭の「Hubert Bals Fund」の助成を受け、長編デビュー作に取り組んでいる。