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[ビルマ、ヴェトナム、タイ]

山の医療団

Beyond the Salween River

- ビルマ、ヴェトナム、タイ/2019/カレン語、ビルマ語/ カラー/デジタル・ファイル/65分

監督、製作:ジジ・ベラルディ
撮影:ルチオ・クレモネーゼ、スザンヌ・サラヴァティ
編集:スワン・デビュース
録音:ジェイムス・ハインズ
共同製作:チャン・フオン・タオ、スワン・デビュース
製作会社:Varan Vietnam
提供:ジジ・ベラルディ

紛争で孤立した少数民族の居住地域に医療を届けるプロジェクト・チーム「バックパック・メディックス」。医師たちは、ジャングルを突き進み、野営しながら紛争地を越えて医療物資を運ぶ。一方、ベースキャンプでは、村の若者たちが医学知識や応急処置の技術を身につけようとしている。少数民族が自ら学び、行動し、命を守り、紡ぐ。まだ幼い顔をした若者たちも、学んだことを背負い旅立ってゆく。(OM)



【監督のことば】この医療団に初めて出会ったのは2006年、タイとビルマの国境沿いにある町メーソットを、バックパッカーとして旅していた時だった。彼らの話に感銘を受けた私は、医療団の本部でボランティアをすることにした。短期の予定が18ヶ月の滞在となり、その間、ジャングルでの活動を撮影して、世に知らしめることができるよう、彼らに基本的な撮影とビデオ編集のスキルを教えた。

 5年後、私は医療団の旅を撮影するために同行することを許された。西洋人にとっては滅多にないチャンスだった。このリサーチ旅行では6週間をかけて、バックパックで旅する彼らとビルマのジャングルの奥地まで行き、生活を共にした。その土地で採れる物だけを食べ、野外のハンモックで寝て、ヒルがいる川を渡りながら、空気が薄くて険しい山岳地帯を旅したのだ。500キロ以上歩いて約11キロ痩せ、熱帯病にもなったが、私にとってはいずれ抜け出せる地獄が、彼らにとっては日常なのだ。

 数々の健康管理上の課題を克服し、立ち直る力を見せてきたカレン族の人々にひとつの声を与える――それが『山の医療団』の目指すところだ。カレン族の生活と文化を深く掘り下げ、観察的アプローチ、自然なやり方で彼らを見せる。そのためには多くの時間をジャングルで過ごし、彼らと生活を共にしなければならないのは、このプロジェクトを始めた時から自明のことだった。結局、それぞれ6週間にわたる撮影を5回行うこととなった。私の場合、慣れ親しんだ文明の快適さを欠いた生活は6週間が限界だったのだ。

 自分たちのレガシーを保存しようと闘う人々と、その文化を描いた映画、それが『山の医療団』である。


ジジ・ベラルディ

イタリアのミラノ出身。バンコクを拠点に、コマーシャル&ドキュメンタリー映画監督およびプロデューサーとして活動する。ロンドン芸術大学で映画や映像を学び2005年に卒業した後、プロデューサーとして短編ドキュメンタリーを数本製作、それらは世界中の100以上の映画祭で上映されている。そのうちの一本『Unravel』(2012)は、数々の映画祭で25以上の賞を獲得した。2012年にはドキュメンタリー・キャンパスのワークショップに参加し、インドでミソジニーと闘う男たちを追った長編ドキュメンタリー『Love Me or Fear Me』の構想を練る。2013年には自身にとって初の放映作品となる、アルジャジーラの番組「Witness」のエピソードを監督。2014年にはマイノリティ・ライツ・グループ・インターナショナルの依頼を受け、ヴェトナム北部に住む少数民族の女性たちの間でまん延しているHIVについてのドキュメンタリー『Up the Hills; Down the Valley』(2016)をヴァラン・ヴェトナムと共同製作。これをきっかけに、チャン・フオン・タオとスワン・デビュースと『山の医療団』で共同製作することになった。2016年には再び「Witness」のエピソードとして、ブルキナファソで撮った「Rachel’s HIV Revolution」を完成させた。