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不在の心象
Images of the Absence
Imàgenes de la Ausencia

ドイツ/1998/スペイン語/カラー、モノクロ/16mm/89分

監督・脚本・ナレーター・製作:ヘルマン・クラル
撮影:ダニエル・シュポンゼル、グスタヴォ・ヴァルト
編集:ヘルマン・クラル、ペーター・プルズィゴッダ
音楽:ゲルト・バウマン、イェンス・フィッシャー
エグゼキュティブ・プロデューサー:
ウォルフガンク・レングスフェルト
製作会社・提供:ミュンヘン 映画テレビ学校
(Hochschule für Fernsehen, und Film MÜnchen)
Abt. III Film und Fernsehspiel, Frankenthaler Straße 23, 81539 MÜnchen
Phone: 49-89-68957-333 / Fax: 49-89-68957-339



ヘルマン・クラル
German Kral


1968年ブエノス・アイレス生まれ。1991年よりミュンヘン 映画テレビ学校(HFF)で学んでいる。短編作品『On the Edge』(1992)で、ブエノス・アイレスのアート・ビエンナーレで最優秀賞を、アンタルヤ・ショート・フィルム・フェスティヴァルでシェラトン賞を受賞。フローリアン・ガレンベルガーとの共同監督作『Tango Berlin』(1997)は1997年ヴェネチア・アート・ビエンナーレにおいてドイツ館エントリー作品となった。その他の作品に『The Other One』(1991)『Tale of the Deserts』(1996)、ヴィム・ヴェンダース及びミュンヘン 映画テレビ学校の生徒との共同製作作品『A Trick of the Light』(共同監督、および共同脚本、1993〜96)

ベルリンで映画を学んだヘルマン・クラルは、幼いときに父親の長い不在と両親の別 居を体験し、その記憶が彼の生き方に影響を与えていた。彼は両親が離れた理由、ひいては自分自身を再発見するために故国アルゼンチン、ブエノスアイレスに戻っていく。内省的な幕開きから、映画は監督の旅日記の側面 をもちながら、両親、祖母にインタビューしていくなかで、次第にその真相が明らかにされる。ホルヘ・ルイス・ボルヘスのインタビュー、ガルデルとタンゴといった要素を通 してアルゼンチンに生を受けた監督の自己認識が深まっていく。自分探し、トラウマの記憶が入り口だが、ここに描き出されていくのは、愛というあやふやな感情の顛末、人生、老いと死。極めてプライベートな内容を描きながらも、万人が共感しうるテーマが導き出される。ヴィム・ヴェンダースをほうふつとする白黒映像から始まりながら、徐々に陽気なイメージが画面 に滲み出てくる。監督の一途な若々しさがまことに好ましい。 [稲田隆紀]

【監督のことば】
1991年、私は映画を勉強するためにブエノスアイレスからドイツへ渡った。7年後、この映画を作るために戻らなくてはならなかった。『不在の心象』は決して1つにならなかった家族─私の家族についての物語だ。
この映画は、両親の別居と父親の長い不在の理由を理解できるようになるための、私のドイツからブエノスアイレスまでの旅日記のようなものでもある。
『不在の心象』は愛と、失われた愛と、そして老いることと死についての映画だ。
なぜ、あえて私の両親と私自身についての物語を語ることにしたかといえば、それは、誰の物語にも中心のところでは共通 するものがあり、“私の”物語と“あなたの”物語の間に差異はないのだと私が信じているからだ。私たちがみな、人生の神秘、悲劇、苦痛、そして美に対峙するような、そんな共通 の場所が。
敬愛する2人の巨匠、小津と溝口の国で私の映画が上映されることは、この上ない喜びです。
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COPYRIGHT:Yamagata International Documentary Film Festival Organizing Committee