インターナショナル・コンペティション
(英語題アルファベット順) |
山形映画祭第1回目からのプログラム。世界中から長編を対象に募集し、応募された1,141本から厳選。バラエティに富む世界の最先端の表現が凝縮した珠玉の15本を紹介します!
会場:山形市中央公民館6F、山形市民会館大ホール、ソラリス1
フランス初の女性撮影監督ヌリット・アヴィヴが自ら監督した『言語から言語へ』では、イスラエルに移り住んだ詩人、歌手、役者ら9人がヘブライ語と母語の間で揺れる心情を語る。ガリン・ヌグロホ監督の『ある詩人』は、アチェ地方の伝統歌謡ディドンの形式を借り、スハルトによる市民の大虐殺事件(1965)を描く。60年代チェコで活動を禁止された伝説の反体制映画作家カレル・ヴァヘック。89年以降、痛烈な社会批評は復活し、『監視員を監視するのは誰?』はスメタナのオペラを織り交ぜた会話の宴。1993年に第1回小川紳介賞を授賞した中国の第一人者・呉文光監督は『ファック・シネマ』で映画を志す若者の現在を映しだす。詩人の吉増剛造氏独自の短編シリーズ gozoCiné『キセキ』から数編、うち1本は「シマ/島」特集で。 |
- オート*メート
AUTO*MATE - チェコ/2009/チェコ語/カラー/ビデオ/90分
監督:マルチン・マレチェク Martin Mareček
自動車抑制の文化的・社会的運動、「オート*メート」の6年を綴った、ユーモアと遊び心に溢れたテンポよい陽気なエッセイ映画。
- 生まれたのだから
Because We Were Born - フランス、ブラジル/2008/ポルトガル語/カラー/35mm/90分
監督:ジャン=ピエール・デュレ、アンドレア・サンタナ Jean-Pierre Duret, Andrea Santana
ブラジルのペルナンブーコ州郊外に暮らす2人の少年。少年たちはたしかに子どもだが、厳しい現実を生きることにおいて1人の人間であり、その顔には希望の光が差している。
- 私と運転席の男たち
Driving Men - アメリカ/2008/英語/カラー/ビデオ/68分
監督:スーザン・モーグル Susan Mogul
フェミニストの映像作家スーザン・モーグルが、関わりのあった男性たちに取材していく。車を運転する男たちを助手席から撮影するというユニークなスタイルのもと、彼女の人生を浮かび上がらせる。
- 包囲:デモクラシーとネオリベラリズムの罠
Encirclement--Neo-Liberalism Ensnares Democracy - カナダ/2008/フランス語、英語/モノクロ/ビデオ/160分
監督:リシャール・ブルイエット Richard Brouillette
新自由主義(ネオリベラリズム)イデオロギーの基盤をなすエリート主義と帝国主義支配の原理の起源と現状、さらにはそれを支えるメディア的制度を批判的に再構成するインタビュー・ドキュメンタリー。
- 要塞
The Fortress - スイス/2008/フランス語ほか/カラー/35mm/105分
監督:フェルナン・メルガル Fernand Melgar
亡命希望者たちが当局の決定を待つ間一時的に収容されている、スイスの難民受け入れ施設。日常的に“選別”が行われている場を見つめ続けることによって、今日の難民問題の現実を浮き彫りにする。
- 私はフォン・ホフレル(ヴェルテル変奏曲)
I am Von Höfler (Variation on Werther) - ハンガリー/2008/英語、ハンガリー語/カラー、モノクロ/ビデオ/160分
監督:フォルガーチ・ペーテル Forgács Péter
ハンガリーの旧家フォン=ホフレル家の250年にわたる物語を、写真やホームムービー、手紙、そして祖先がモデルだという『若きヴェルテルの悩み』の映画化とともに描く。
- ナオキ
Japan: A Story of Love and Hate - イギリス、日本/2009/英語、日本語/カラー/ビデオ/110分
監督:ショーン・マカリスター Sean McAllister
イギリス人監督が山形を舞台に日本のワーキングプア層の悲哀と希望を描く国際共同製作作品。監督は先進国ニッポンの陰の現実に素朴な問いをかけ、友情を深めながら人間関係を変えていく。
- 稲妻の証言
The Lightning Testimonies - インド/2007/英語ほか/カラー、モノクロ/ビデオ/113分
監督:アマル・カンワル Amar Kanwar
1947年のインド・パキスタン分離独立から現在まで続く、女性への性暴力を繰り返している対立の歴史をさまざまな映像表現で辿り、暴力の残虐さと女性たちの尊厳ある強靭な精神を描く。
- 母
The Mother - スイス、フランス、ロシア/2007/ロシア語/カラー/ビデオ/80分
監督:アントワーヌ・カタン、パヴェル・コストマロフ Antoine Cattin, Pavel Kostomarov
ロシア雪原の中、9人の子どもを連れて暴力的な夫から逃げ出したリューバ。酪農家として働き、子どもたちの世話をする日常は貧しくとも、営み続ける母なる力を見せつけてくれる。
- アムステルダム(新)国立美術館
The New Rijksmuseum - オランダ/2008/オランダ語、英語、スペイン語/カラー/ビデオ/120分
監督:ウケ・ホーゲンデイク Oeke Hoogendijk
アムステルダム国立美術館の大規模な改造計画は、発表されるや否や、アムステルダム市民を巻き込む大騒動に発展した。知られざる美術館の内幕に肉薄する。
- 忘却
Oblivion - オランダ、ドイツ/2008/スペイン語/カラー/ビデオ/93分
監督:エディ・ホニグマン Heddy Honigmann
ペルーのリマ。経済的に政治的に困難な状況を生き続けるために人々が忘れていること、忘れえないことに耳を傾け詩のように編まれた作品。『クレイジー』など山形でおなじみの監督の新作。
- アポロノフカ桟橋
The Pier of Apolonovka - ドイツ/2008/ウクライナ語/カラー/ビデオ/85分
監督:アンドレイ・シュヴァルツ Andrei Schwartz
ウクライナのセヴァストポリ湾のひと夏。夏の匂いとともに、老若男女の生々しい姿が立ち上がり、刹那的に流れるひと夏を生きる人々の美しさに引き込まれる。
- RiP! リミックス宣言
RiP! A Remix Manifesto - カナダ/2008/英語/カラー/ビデオ/86分
監督:ブレット・ゲイラー Brett Gaylor
知的財産権に対する激烈な問いかけ。それが映像、音楽、果ては癌治療にまで及ぶ事実を明らかにしながらオリジナリティとは何かを考察する。
- ダスト ―塵―
Staub (Dust) - ドイツ、スイス/2007/ドイツ語/カラー、モノクロ/35mm/94分
監督:ハルトムート・ビトムスキー Hartmut Bitomsky
世界に充満するさまざまな塵の様相を、技術者や科学者の考察を交えて観察していく。2001年に審査員を務めたハルトムート・ビトムスキー監督の新作。