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    The Story of Koreans in Postwar Japan: Zainichi

    日本/1997/日本語/カラー/16mm/258分

    - 監督:呉徳洙(オ・ドクス)
    撮影:本田茂、石倉隆二、篠田昇 
    録音:本田孜、辻陽一郎 音楽:野沢美香、南滋子
    助監督:金聖雄 ナレーター:原田芳雄
    製作:金昌寛、陣内直行、野口香織
    企画:在日韓国青年商工人連合会、指紋カードをなくせ!1990年協議会、OH(オー)企画
    製作委員会、提供:映画『戦後在日五〇年史』製作委員会

    解放から50年に及ぶ在日の歴史の映像化。そこに描き出される在日の軌跡は、日本の“戦後民主主義”“平和主義”への問いともなるだろう。前半「歴史篇」は、日本敗戦(朝鮮解放)から今日までの在日をめぐるさまざまな出来事を、膨大な映像資料、証言をもとに年代順に追う。後半「人物篇」では、一世、二世、三世、それぞれの在日に焦点をあて、その生き方を活写する。在日に関しては、特集「日本に生きるということ――境界からの視線」でも多くの作品が上映され、呉徳洙監督の代表作のひとつ『指紋押捺拒否』(1984)も取り上げる。



    【監督のことば】「在日」を生きるとは、「日本」を生きること

     この国には「在日」と呼ばれる、朝鮮半島にルーツを持つ人たちが住んでいる。全国どこにでもいる。その数は100万人とも200万人とも言われる。もちろん国籍の数ではない。何をもって「在日」とするかでその数は違ってくる。なんせ「在日」には100年の歴史がある。帰化者やダブル、ほかを含めるとその実数をつかむのはなかなかに難しい。

     「在日」がこの日本にいるのはみんな知っている。しかし、なぜいるのかと問えば答えられる人はそう多くはない。「在日」とてそうである。どこかで学習したのであろう「強制連行」の末裔だと済ましている人も結構いる。こまったものだ。この程度では、零戦で敵艦に突っ込んで行った神風特攻隊の朝鮮青年たちには理解が及ばない。

     60年前までは朝鮮は日本国だったのだ。それは1910年の「韓国併合」にはじまる植民地支配の結果である。当時の人々は半島と列島に横たわる玄界灘を関釜連絡船で行き来していた。当然、さまざまな交流・交易、人間ドラマがあった。その長い歴史のひとつひとつの事実を重層的、かつ多面的にとらえることなしには真の理解は得られまい。

     敗戦時、日本には200数十万もの朝鮮人がいた。日本の敗戦は朝鮮の「解放」であった。朝鮮人は祖国を目指した。内的・外的事情で帰りそびれた人々はこの地で生きつづけた。いつしか、この人たちは「在日」と呼ばれるようになった。

     戦後60年。今や人々は海峡の上を飛び交っている。隔世の感がある。半島は近くなった。しかし、「在日」の世代交代がすすみ、その分「祖国」は遠くなってしまった。

     現在、「在日」は「拉致」と「韓流」に挟撃されている。「在日」にとって、この日本を生きることは相変わらず厳しい。


    - 呉徳洙(オ・ドクス)

    1941年、秋田県鹿角市生まれ。1965年、早稲田大学卒業。1966年、『白昼の通り魔』の助監督をはじめ、以降、数本の大島渚監督作品に助監督として関わる。1968年、東映東京制作所に入所。「キイハンター」「プレイガール」などのテレビ映画を手がける。1979年、東映を退社、製作プロダクション、OH企画を設立。主な監督作品に『ナウ! ウーマン 女が社会を変える時』(1986)、『まさあきの詩(うた)』(1988)、劇映画に『時代(とき)』(2003)などがある。