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アメリカン・ダイレクト・シネマ


[会場]CS 山形市民会館小ホール、山形市民会館展示室、F3 F5 フォーラム山形3、5

 1960年にその登場によって世界の映像文化を揺るがしたダイレクト・シネマ。あらゆるドキュメンタリー様式に影響を及ぼしたこの新たなスタイルについて、その年ジョナス・メカスは「映画はまだ始まったばかりであるという気配が漂っている」と書いている。ダイレクト・シネマの作家たちは、台本構成や型どおりのインタビューや「天の声」式ナレーションを避け、目の前で起きていることの再現も決してしない。カメラを三脚から解放し、世界の複雑さや可能性に開かれたまま現場へと乗り込むのである。「観察映画」の誕生となるこの美学的な革命は、アメリカ文化のより大きな流れと関連するものでもあった。個々の認識を信じ、日常的現実の奥深くにあるものの発見を信じるその姿勢、その筋金入りの反骨精神は、アメリカ的なプラグマティズムや超越主義と通じ合う。また同時に、ほぼすべての作品にその頃芽生えつつあった対抗文化の刻印がみてとれる。われわれの世界を「ダイレクト」に映すその映像は、民主主義や投票権、移民問題や難民の権利、貧困、暴力、人種、多様性といった現代生活のもっとも差し迫った課題をダイレクトに論じるのではないかたちで取り扱うことを可能にした。デイヴ・ソーンダーズが指摘するように、この一群の作品は「アメリカとの、激動期と呼ぶのがもっともふさわしい時代のアメリカをめぐる、実質的かつ豊かで人を惹きつけてやまない対話に勤しむ」のだ。本特集では、アメリカン・ダイレクト・シネマを新たな分断の時代に振り返る。


オープニング上映[New]
アメリカン・ダイレクト・シネマ特選
解体美術館監督:D・A・ペネベイカー/1960/8分
誰かに愛されなければ君は誰でもない監督:D・A・ペネベイカー/1964/12分
カットピース、1964/1965製作:アルバート・メイズルス、デヴィッド・メイズルス/1965/9分
プーナイル・コーナーの家(『1PM』からの抜粋)製作:D・A・ペネベイカー/1971/8分
パノーラ監督:エド・ピンカス、デイヴィッド・ニューマン/1970/21分 9YC

Program 1
第二次世界大戦時に従軍カメラマンとして撮影した映像 撮影:リチャード・リーコック/1945/4分
中国・芷江における日本軍の降伏準備
ミャンマー、ヤンゴンに到着したウィリアム・スリム卿
第36師団本部を視察する将軍たち
若きファイター監督:レオ・ハーヴィッツ/1953/30分
ジャズダンス監督:ロジャー・ティルトン/1954/22分
バワリーにて(公開題『バワリー25時』)監督:ライオネル・ローガシン/1956/65分 10CS

Program 2
雪靴の人たち監督:ジル・グルー、ミシェル・ブロー/カナダ/1958/14分
クリスマスを前に監督:テレンス・マッカートニー=フィルゲート、スタンリー・ジャクソン、ウルフ・ケーニグ/カナダ/1958/29分
救急救命室監督:ウィリアム・グリーヴス/カナダ/1959/30分
レスリング(戦い)監督:ミシェル・ブロー、マルセル・カリエール、クロード・フルニエ、クロード・ジュトラ/カナダ/1961/27分 10CS

Program 3
予備選挙製作:ロバート・ドルー/1960/53分
ヤンキー・ノー!製作:ロバート・ドルー/1960/53分 10CS

Program 4
危機――大統領による介入の背景製作総指揮:ロバート・ドルー/1963/52分
11月の顔製作総指揮:ロバート・ドルー/1964/12分 11CS

Program 5
椅子製作総指揮:ロバート・ドルー/1962/58分
母の日おめでとう監督:ジョイス・チョプラ、リチャード・リーコック/1963/26分 11CS

Program 6
ドント・ルック・バック監督:D・A・ペネベイカー/1967/96分 10F3

Program 7
シセロの行進製作会社:フィルム・グループ/1966/8分
法と秩序監督:フレデリック・ワイズマン/1969/81分
警察署長監督:E・パメンテル・ジュニア/1968/18分 11CS

Program 8
いのちの いえ監督:ゴードン・クイン、ジェラルド・テメナー/1966/82分 11CS

Program 9
マーロン・ブランドに会おう(別題『マーロン・ブランドに会う』)監督:アルバート・メイズルス、デヴィッド・メイズルス/1966/29分
二軒の床屋の物語監督:ウィリアム・グリーヴス/1976/28分 12CS

Program 10
解体美術館監督:D・A・ペネベイカー/1960/8分
誰かに愛されなければ君は誰でもない監督:D・A・ペネベイカー/1964/12分
カットピース、1964/1965製作:アルバート・メイズルス、デヴィッド・メイズルス/1965/9分
モンタレー・ポップ監督:D・A・ペネベイカー/1968/78分
プーナイル・コーナーの家(『1PM』からの抜粋)製作:D・A・ペネベイカー/1971/8分 12CS

Program 11
ギミー・シェルター監督:アルバート・メイズルス、デヴィッド・メイズルス/1970/91分 12CS

Program 12
グレイ・ガーデンズ監督:アルバート・メイズルス、デヴィッド・メイズルス、エレン・ハヴディー、マフィー・メイヤー/1976/95分 14F5

Program 13
アメリカ合衆国ハーラン郡監督:バーバラ・コップル/1976/103分 12CS
*Harlan County, USA was preserved in 2004 by the Women's Film Preservation Fund of New York Women in Film and Television and the Academy Film Archive.

Program 14
祝福の森監督:ロバート・ガードナー/1986/90分 14CS

Program 15
17才監督:ジョエル・デモット、ジェフ・クラインズ/1983/120分 13CS

Program 16
ウォールーム(公開題『クリントンを大統領にした男』)監督:クリス・ヘジダス、D・A・ペネベイカー/1993/96分 14CS


ディスカッション
ダイレクト・シネマを語ろう――ゴードン・クインとのオープン・ディスカッション

[日時]1010日[金]18:00−19:30
[会場]山形市民会館展示室