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Memento Stella


- 日本、香港/2018/ダイアローグなし/カラー/DCP/60分

監督、脚本、撮影、編集:牧野貴
録音、音楽レイニア・ファン・ハウト
提供:牧野貴

現実の様々な事象を捉えた本作の映像は、この星が光の集合であったことを思い出したかのように、微細な粒子にまで還元され、視覚と聴覚に訴える強烈なテクスチャへとその姿を変える。しかしそこに我々が「見て」しまうのは、有史以来連綿と続く人の営みそのものである。光と音のダンスが、既成の概念を超越した唯一無二の映像体験へと誘う。(KK)



【監督のことば】“Memento Stella”は「星を想え」「ここが星であることを忘れてはならない」といった意味の造語であり、2016年冬より開始されたプロジェクトの名称です。今までに360度映画、音楽、インスタレーション、銅版画など、いくつかのフォーマットで表現をしてきました。近年、自作の映画上映をしながら世界中を旅し、多く起こる戦争やテロ、異常気象による自然災害により、多くの命が失われているこの暗く悲しい世界の中、死を想わない日などは一日たりともありませんでした。しかし世界に存在する人間や生物に共通することは、全員がやがてこの世を去るという事実だけではなく、この小さな星で生まれ、今なお生きているというその事実です。一日のうち、ほんの一瞬でもそのことに対し自覚的になることができれば、宗教や政治や国境や言語や個人的な欲望を超越した領域で、心の奥深くで繋がり、芸術表現を、光と音を、この世界を共有できるのではないかと考え、この作品を制作しました。この作品はドキュメンタリー映画という形態を大きく逸脱した手法で制作されていますが、「この世界で何を思い、どう生き抜くか」という映画制作に対する姿勢が、ドキュメンタリー映画制作者と根本的に通じる部分があると私は信じています。


牧野貴

1978年生まれ。2001年に日大芸術学部映画学科撮影コース卒業後に渡英。ブラザーズ・クエイのアトリエを訪問し、映像、照明、音楽に関しての示唆を受ける。その後、カラーリストとして、多くの劇映画の色彩を担当し、フィルムおよびビデオに関する技術を高めながら、2004年より自身の作品上映を開始した。自然現象や人間、街など既成のオブジェクトをフィルムやビデオなどさまざまなフォーマットで撮影し、編集段階において重層化して構築する、その無限に広がり続けるような極めて有機的で想像的な牧野の映像作品は、国際的に高く評価されている。現在は日本を拠点としつつ、映画、音楽、インスタレーション、パフォーマンスなどを世界120都市以上で発表。2012年にロッテルダム国際映画祭短編部門でタイガーアワードを受賞したほか、ハンブルグ国際短編映画祭、モスクワ国際実験映画祭、25FPSクロアチア国際実験映画祭、VIDEOEXフェスティバルなどでグランプリを獲得(すべて日本人初)するなど、国際映画祭での受賞歴は幾多にも及ぶ。YIDFF 2015では、インターナショナル・コンペティション審査員を務めた。