気乗りのしない革命家
The Reluctant Revolutionary-
イギリス/2012/英語、アラビア語/カラー/Blu-ray/70分
監督、撮影:ショーン・マカリスター
編集:ジョニー・バーク
製作:ショーン・マカリスター、エルハム・シェクリファー
共同製作:レイチェル・ライサート
提供:テンフット・フィルムズ・プロダクション
「アラブの春」をカメラに収めようと中東へ向かった監督は、イエメンで一人の観光業者カイスに出会う。反政府デモによりビジネスに打撃を受けたカイス。カメラは、日々の苦しい暮らしに追われ、出産を控えた妻ともぎくしゃくしている彼の日常を追う。デモには懐疑的なカイスだが、政府によるデモ隊への発砲と死傷者を目撃することで、その様子は徐々に変化していく。
【監督のことば】「アラブの春」なる革命は、国ごとに事情は異なり、まったく同じというわけではない。
私は日本の山形での撮影から、直接「アラブの春」の渦中へ旅立つことになった。それは日本文化から中東文化――スシからフムスへの唐突な移行であった。
世界のメディアの注目がエジプト、チュニジア、リビアに集中するなか、イエメンについてはほとんど耳にすることはなかった。私はこの物語の中心的人物、カイスに紹介されたため、2011年に同地を訪れたのである。
民衆が街頭に繰り出し、実弾を前に勇敢に抵抗する、恐れを知らない姿を見るのは刺激的だった。38年に及ぶ一家族の支配の後、腐敗した独裁者を排除しようとする民衆の熱情を実感するのは瞠目すべきことだった。私は虐殺をフィルムに収めはしたが、イエメンでの死亡者数はありがたいことに、他の「アラブの春」の革命と比較して少数だった。
言うまでもなく、イエメンも他のアラブ諸国も、民主化への途上にあって今なお大きな課題に直面している。だが、これら諸国の民衆にとっては、みずからの夢を実現するときが来たのである。
16歳で学校を出て、イングランド北部のいくつかの工場で働いていたときにカメラと出会い、国立映画学校に入学。マカリスターの映画は、独特の親密さと率直さでもって、逆境を生き延びようともがき、実際に生き延び、政治的、個人的な対立に巻き込まれつつ、私たちが住む世界の意味を理解しようとしている、世界の様々な地域の人々を描いている。主な作品は『Working for the Enemy』(1997)、『The Minders』(1998)、『Settlers』(2000)、『The Liberace of Baghdad』(2005)、『ナオキ』(2009、YIDFF 2009で特別賞と市民賞を受賞)。