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     YIDFFでは、戦前から戦後、高度経済成長期にかけて一般の市民や企業、行政機関等によって、それぞれの目的で撮影された古い映像を集める「懐かしい山形発掘プロジェクト」を行っている。今回は山形出身の2人が撮影した作品を上映する。

     発掘された映画の面白さは、当時の生活のありのままの姿が何のてらいもなく写し取られていることだ。そこに見える人々の暮らしと同時に映し出される当時の日本。撮影機が入ることによる人々のささやかな驚きやはにかみ、笑顔に時空を超えて遭遇する。


    -新庄と南洋

    Shinjo and the South Seas

    1937年頃/サイレント/カラー、モノクロ/ビデオ(原版:8mm)/36分

    撮影:大場条太郎
    提供:大場日出男

    大正末、山形県新庄市出身の1人の青年、大場条太郎が南洋ジャワ(現在のインドネシア)に渡った。ジャワで“トコ・ナンヨー”という雑貨店チェーンで成功した「南洋商会」に入社した。その後商会は解散したが、その裔たる会社で引き続きジャワで働く。貴重な当時の南洋の風景に加えて、戦前の新庄の風俗も映し出される。



    -蟹仙洞フィルム

    Kaisendo Films

    1932−1941/サイレント/カラー、モノクロ/ ビデオ(原版:16mm)/42分

    撮影:長谷川謙三
    提供:蟹仙洞

    戦前期、県内でも有数の大企業長谷川製糸。蟹仙洞美術館も創設した長谷川謙三とその家族が撮影したもののうち、16ミリフィルムは長い間所在が不明となっていたが、このたび押し入れの「ひな飾り」の後ろに隠れていたものを発見した。当時の生活風俗や製糸工場の様子が映し出されるほか、父が新庄藩士で、後に首相となる小磯国昭が工場を訪れた貴重な瞬間もカメラは捉えている。